痛ければまずは医療機関で検査を
なぜそれでも接骨院に人は行くのだろうか。
いちばんの理由は安さだ。いわゆるもみほぐしをうたった町のマッサージ店は3000円とか5000円とかかかるが、接骨院で保険を使った場合は500円ほどで済むことも。大きな差だ。
「金額もそうですが、話を聞いてもらえるという点も魅力なのだと思います。私たち医師は患者さんの話をさすがに10分も20分も聞くことはできません。ですが、接骨院ではマッサージを受けながら話を聞いてもらえますから」
病院や医者の敷居を高く感じ、「腰が痛いくらいで病院に行っていいのかな……」と思う人もいるだろう。
「私たち医師側も改善すべき点はあると思っています。ただ、痛みがあるならまずは検査をして、病気があるのかないのか、診断を受けるべきです。そのためには医療機関に来てもらう必要があります。
そのうえで、理学療法士などによる運動やリハビリの指導を受けられるのも、医療機関ならではの利点です」
痛みが出たら病院で検査が基本だが、検査して特に異常なしと言われたのに不調が取り除けなかったり、病気ではないけどなんとなくだるいといった場合は、じっくり時間をかけてくれる施術院もいいかもしれない。
患者側が上手にチョイスして、目的に合ったサービスを受けることが大切なのだ。
医師による調査でさまざまな“被害”が判明!
日本臨床整形外科学会の医療システム委員会が同学会所属の5771人を対象に実態調査をしたところ、2017年1月1日~2021年12月31日の5年間に129の医療機関から529例の健康被害が報告された。以下は主な事例。
■マッサージなどが原因で骨折(脊椎圧迫骨折、肋骨骨折など)
■お灸などによるヤケドやかぶれ
■骨折や脱臼に気がつかずマッサージ
■がんの転移による腰痛にもかかわらず施術を継続
■医者が出した薬の服用を中止させる
■医者が処方した装具を無断で取り外す
■医師免許がないのにエコー検査をして診断
(取材・文/富永福子 イラスト/小島サエキチ)