ドラマは、ファッションデザイナーを目指すサチの上京物語としても描かれる。北海道出身の武田は17歳で上京した。
「テレビで見ていた東京はバブル全盛期でキラキラしてまぶしかったです。ニューヨークやロサンゼルスよりも憧れの街で、自分にとって遠い街でした。上京してからはサチのようにいろんな人に出会うことができました。割と早く売れたことで過信したり、自分を見失い悔やんだりした時期もあったけど、それも含めて人間として成長させてくれたのが東京という街だったと思います」
なりたくない自分から逃げてみようと東京に出てきた
クールミントはさまざまな名言で若者たちを応援する。
「“なりたい自分が見つからないなら、なりたくない自分から逃げ続けなさい。なりたくない自分につかまらないように全力で走るの。やみくもに走って汗だくで逃げて、そしたらいつのまにかなりたかった自分になっている”というセリフがいちばん好きです。
SNSなどが発達していなかった当時、僕自身も生まれ育った街では、なりたい自分にはなれないかもと思いました。どうしたらなりたい自分になれるのかわからないまま、なりたくない自分から逃げてみようとやみくもに東京に出てきた部分があります。役というよりは僕自身からのメッセージとして心を込めて演じました。
クールミントさんは強さだけじゃなくて、弱さもある。時々矛盾していて、決して完璧なスーパーヒーローじゃない。サチにとって足長おじさんでもナントカ先生でもない。一緒に成長していく、自分で言ったことの実践者であろうとする姿が人間らしくて共感できる魅力的なキャラクターです」
正月返上でダンス練習をした役作りや、ドラァグクイーンの扮装は見どころのひとつだ。
「しなやかに変身したかったけど、ここ数年ご存じのとおり筋肉質な体形。(役で)露出の多い衣装とのコラボレーションは“なんじゃこりゃ!”というのはありました(笑)。
でも現場で主演の井桁さんが褒めてくださったり“女性でもない男性でもない新しいカリスマに見えた”と現場で言っていただけて自信になり、やりきることができました。
わかりづらいかもですが、ミント色のカラーコンタクトをつけているのは、ちょっとしたこだわりです」
50歳。大人になったからこそ自身の経験を踏まえて伝えたいことがある。
「若者には自分らしくいてほしい。そのためにとらわれていることから踏み外すようなことがあっても、それは冒険の第一歩だと伝えたいです。そういう人たちにとって今回のドラマが、人生一度くらいの大冒険をしてみてもいいのでは、と背中を押せるような作品になったらいいなと思います」