敵対陣営のアルバイトを味方につける…は実際にある?
国民の声に耳を傾ける気持ちはあっても、すべてを叶えることはやはり無理な話だ。
「議員が何を政治のテーマにしているかで、陳情への対応が変わってきます。これは取り合ってくれないって判断したら、議員に報告しない秘書もいますよ。それに、訪問された日がものすごく忙しい日だったりすると、どうしてもおざなりになってしまうこともあるでしょう」(有馬氏)
ただでさえ忙しい秘書だが、もっとも多忙なのは選挙の時期。議員を当選させるため、票集めに奔走する。
ドラマでは、敵対陣営のアルバイトを味方につけ、相手の弱みを引き出すというシーンもあった。選挙でスパイを用いることはあるのだろうか。
「さすがにアルバイトにスパイをさせるなんてことは聞いたことないですね。かつては議員に命じられて専門的に敵対陣営の粗探しをしていた人もいましたが、今はどこも自分の事務所のことで精いっぱい。昔ほど悪さをする議員もいないし、調べる時間がもったいないんですよ」(有馬氏)
Aさんもスパイの話は知らないとしながらも、“野党のほうがそういうのは激しいのでは”と話す。政権を奪取すべく、野党は謀略を巡らせているのか……。
「相手陣営の決起集会や街頭演説に出向くことはありますよ。でも、それは弱みを探るため、というよりは、戦略を探って勉強する意味合いのほうが強いですね」(Bさん)
対立候補を見て勉強する、とは意外な答えだが、どういうことなのだろう。
「相手のいいところをまねするんですよ。そもそも、ネガティブキャンペーンはあまり効果的ではないんです。アメリカの大統領選みたいに揚げ足の取り合いをしても、日本の有権者には響かない。敵対候補の戦略を学んで、差別化を図るんです」(Bさん)