しかも、彼はこの結婚で大いに注目され、ドラマや映画、アニメなどの仕事も増加。役者としての輝きをさらに増していった。「地位は人をつくる」というが「篠原涼子の夫」という新たなポジションが、彼を飛躍させたのだ。
篠原との出会いが「人生を変えた」
なお、前出のエッセイに最初の結婚の話は出てこない。最初の離婚は2003年で、篠原との出会いと結婚の真ん中の時期だ。それゆえ、不倫とも報じられたし、篠原の父は市村との年の差のこともあって猛反対していた。そんないきさつもエッセイでは触れられていないので、篠原が初めての結婚相手だと勘違いする人もいるだろう。
もちろん、誰にでも語りたい歴史と語りたくない歴史がある。その分かれ目こそが転機。市村の人生は、篠原と出会う前と後で大きく変わったというわけだ。
変わったといえば、再婚では子どもも2人授かった。初婚では子宝に恵まれなかったので、その点でも篠原への感謝は大きいのではないか。子どもは2人とも男子で、役者としての活動も開始。最新の舞台では、父子3人の共演も実現した。
健康面では、'14年に早期の胃がんが見つかり、胃を半分切除。彼はエッセイのなかで、おかげで小食になり、太らずに済んでいると書いている。
《これもきっと演劇の神様の仕業かな》
と、病気にまで感謝するプラス思考。こういう性格が、50代でのさらなる幸運を呼び込んだのだろう。
ほうせん・かおる アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。著書に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)。