「ホス狂い」で自分の存在価値を見つける

 初めて訪れた歌舞伎町は、あおいさんにとって魅力的だった。どんどん友達が増え、歌舞伎町に行けば必ず友達がいる。あっというまに歌舞伎町が生活の中心になった。

「1年くらいで100店舗ほどのホストクラブに行きました。初めて行くお店は初回料金なので高くても5000円以内で飲めるんです。だから普通に飲みに行くノリでした」

 1年半を過ぎたころ、初回で行ったお店で担当(お気に入りのホスト)ができた。すると一気に出費が増える。

「もちろん指名するし、その人に気に入られたいからボトルを入れたり、シャンパンを入れたりする。でも払えないじゃないですか。なので、作れるだけのクレジットカードを作って限度額まで借り入れして、借金は200万円くらいになりました

 お金を使えば使うほど自分の存在価値が上がるように思えたという。

「もともと依存する体質なんですよね。お金を使えば『好きだよ』って言ってもらえて、ご飯に連れていってもらえて、デートしてくれて、全肯定してくれる。そんなこと初めてで、その人のために生きようとまで思いました」

 そのために仕事も変えた。

「もっと稼ぎたいと思って21歳の頃にバーを始めました。恩人のゆーじさんと出会って、その人にお金を出してもらって始めたお店なので、オーナーはゆーじさんなんですけど、店長として働いて月30万〜50万くらいは利益がありました。接客業が好きだったので仕事はめちゃくちゃ楽しかったですね」