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ー 祖父は元市議会議員の名士
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ー 中学では日本赤十字のボランティアに参加

 

「そんなことは絶対にありえません! いいおうちで育った、とてもいい娘だったから……」

 容疑者と小・中学校時代に同級生だった子どもを持つという母親は、彼女が起こした事件を否定し、そして絶句した。

 フィリピン入国管理局は11日、一連の特殊詐欺事件に関与していたとして、藤田海里容疑者(24)と、熊井ひとみ容疑者(25)を拘束したと発表。両容疑者は10日、首都マニラ近郊のパラニャーケ市で拘束され、入管施設のビクタン収容所に移送された。

「2人は昨年9月、日本国内での窃盗容疑で逮捕状が出ていて、指名手配されていた。入管当局は先月、日本に強制送還された渡邉優樹容疑者(38)らが関わった特殊詐欺グループ『ルフィ強盗団』の一員で、いわゆる“かけ子”をしていたとみている」(全国紙社会部記者)

 現地で拘束時に撮影された熊井容疑者の顔写真をみると、穏やかそうで犯罪からは縁遠く見える。そんな彼女が、いったいどんな経緯で強盗団の一味に加わってしまったというのか。

祖父は元市議会議員の名士

 熊井容疑者は東京都出身で、三鷹市の住宅街にある実家は、鉄筋3階建てという豪邸である。

「祖父はもともと高知県で組合関連団体に勤めていた方で、のちに市議会議員、県議会議員を何期も務め、勲章までもらった人物。上京して中野区で暮らしたあと、50年ほど前に一家でここへ引っ越してきた」(近所の住民)

 祖父母夫妻は1男2女に恵まれ、その長男が容疑者の父親である。

「父親は隣駅にある亜細亜大学の在学中、母親と学生結婚したんです。ふたりはしばらく実家を離れて、ほかの街で生活していた。もちろん、親の支援があったから実現できたんだと思いますよ」(近所の主婦)

 長女、長男を授かり、そして末っ子のひとみ容疑者が誕生した。その後、2007年ごろに祖父が亡くなる。葬儀は近所のお寺でしめやかに行われたものの、

「祖父、祖母は町内会に入っていて、付き合いがあったのに、なぜか葬儀には近所の人は誰も呼ばれなかった。世帯主が(容疑者の)父親に替わってからは、町内会からも脱けてしまったので、祖父も祖母もいつ亡くなったかさえわからなかった」(同・主婦)

 三鷹の実家に住んでいたひとみ容疑者は地元の小・中学校へ通っていたのだが、

「ほんとに近所づきあいをしない家だったので、娘さんが住んでいること自体、知らなかった」(別の近所の住民)

 だが、小・中学校の同級生がひとみ容疑者の人となりについて話してくれた。