《○○公園にて「縄跳び忘れているよ」と低学年の男子児童が男から声をかけられ、肩をつかまれる事案が発生。男児は怖くなり逃げ無事でした》
親切なだけでは……と、思わず突っ込まずにはいられない「不審者情報」が届いている。なぜこれらの情報が配信されるのか。元警視庁少年安全課の村田和子さんは、
「不審者情報はもちろん精査していて明らかに過剰な心配といえる通報は配信しないようにしています。例えば隣の家の女性から“こんにちは”と声をかけられたなどを不審者通報として流すと諍いを生む可能性もあります。
ですが、児童をめぐる犯罪の多くは最初は声かけだったという事例があるので、一見何でもないようなことでも省けないというのが実情です。もちろん、例に上がっているようなものは過剰通報と言わざるを得ないのですが“子どもが怖がっている”と言われると排除できない」
と内情を明かす。
“不審者”にされないために
不審者として身内が通報されたらーー。実際に'08年には埼玉県で、迷子を送り届けようとして逮捕されるという事件が起きている。
他にも、'19年に元プロ野球選手の落合博満氏の長男で声優の落合福嗣氏は自分の子どもと公園で遊んでいただけで、周囲の母親から不審者通報された、と公表。
この過剰ともいえる不審者通報はなぜ起こっているのか。
「近隣のコミュニティが減少しているからでしょうね」
と、前出の村田さん。
「今は子ども会なども廃止の方向の地区が多いですし、両親も近所の人と話す機会が少ないのでしょうね。知らない人=怖い人と子どもは思ってしまいますから。
顔見知りであれば声をかけても不審者ではないが、知らない人だから怖いと思ってしまう。また、家庭でも“知らない人とは話さないように”と教えられている。これは大事なことですが、一方で危険。子どもに安全か危険かを見極める目を持たせる教育をしてほしい」
とし、
「残念ですが不審者にされないためには“安易に子どもに声をかけない”ことしか防ぐ方法はない」(村田さん)
過剰な不審者情報が加速していく一方で、国内で子どもが巻き込まれる犯罪は減り続けている。令和3年の警察学書によると、13歳未満の子どもの被害件数は最も多かった平成23年が2万9784件だったのに対し、令和2年では8788件に減少している。
これらは過剰通報が功を奏しているのだろうか。