気になる音声の主は?
置き配指定をお願いできる音声まで入っているのは、現代ならでは。もちろん、開発の段階で採用に至らなかったセリフもあったという。
「開発時は在宅勤務が普及しはじめていたので『今、リモート会議中なんで』という案もありましたが、最終的にはボツになりましたね(笑)」
音声の吹き込みを行ったのは、同社の男性社員だ。
「当初はプロの声優さんにお願いする案もありましたが、まずは低コストで発売ができるよう、社内の男性にお願いすることになりました。試作機の段階では、東大阪の本社にいる若手男性社員の声で吹き込んでもらいましたが、愛嬌があるいい声ではあるものの、少し優しすぎるかもしれないという話に。
そこで、迷惑な訪問を断るときに、いちばん説得力があるのは誰の声だろうという観点で、“あの人しかいないよね!”と大抜擢されたのが、現在の『応答くん』の声の主なんです」
こうして選ばれた一般男性の“リアルな声”を搭載した『応答くん』。その音声は、たしかに人間味があふれている。
「声自体には迫力があるのですが、荷物を運んでくれる配達員さんなどには高圧的で失礼にならないよう、丁寧に聞こえるように試行錯誤しながら録音してもらいました。搭載された音声のなかには、ちょっと噛みそうになっているものも(笑)。でも、それもまた“リアルさがあっていい”とご好評いただいていますね」
16種類の音声パターンのなかには、ひとつだけ『ピーンポーン』という電子音を盛り込んだ。これは迷惑電話への対応を想定している。
「強引な勧誘の電話や切りたいけど切るきっかけがない電話の応対中などに『ピーンポーン』のボタンを押すことで、“あ、来客なので電話を切りますね”という流れに持っていくことができて、意外と便利なんですよね」