これはその定義があいまいなことも関係している。奇行が過ぎれば「プッツン」と呼ばれ、恋愛スキャンダルを起こせば「魔性の女」。それ以外にも「ぶりっこ」や「おたく」「腐女子」「かまってちゃん」「メンヘラ」などとの区別が難しいケースがあり、純然たる不思議ちゃんを決めるのは容易ではない。
なかでも、ややこしいのが「おバカ」との境界線だ。いや、特に境界を定める必要はないのだが、一緒にしてしまうのでは雑すぎる。ただのおバカにはない、それこそ不思議さを見せてほしいのだ。
不思議ちゃんには意外な“強み”も
例えば、アスリート系。丸山桂里奈には、サッカーの基本であるオフサイドも把握できないまま世界一になってしまったという不思議さがある。
また、浜口京子はあの有吉弘行のお気に入り。『有吉くんの正直さんぽ』(フジテレビ系)では新春SPに4年連続で呼ばれているほどだ。この番組の常連である坂下千里子も「京子ちゃんは最強だから」と一目置く存在。有吉の壁をも軽々と超えるのが、本物の不思議ちゃんだ。
スポーツつながりでいえば、長友佑都選手の妻でもある平愛梨もかなりのものだ。『おしゃれイズム』(日本テレビ系)に出た際、片仮名を覚えられないことが判明。「アンタッチャブル」が「アンタッチャップル」になるのはともかく「チュッパチャップス」を「プッチャパッチュプス」と言っていた。この言語感覚は、滝沢カレンにも匹敵するのではないか。
かと思えば、はいだしょうこが『おかあさんといっしょ』(NHK総合)時代に描いたスプー(番組のマスコットキャラ)の絵もすごかった。歌のおねえさんだけで終わる人が多いなか、彼女はこの芸術的才能(?)でタレントとしても開花する。
なお、不思議ちゃんには、同性から嫉妬されにくいという強みもある。恋愛や結婚においても、玉の輿に乗るタイプは少ない。むしろ、縁遠かったり、こじらせたりする人が目立つのだ。
おそらく異性関係に限らず、人付き合いが得意ではないのだろう。実際、AKB系や坂道系といったグループアイドルからは不思議ちゃんがあまり生まれていない。そもそも、グループ活動には向かないともいえる。今をときめくあのにしても、ゆるめるモ!時代にはマニア受けにとどまっていた。
ちなみに、彼女は一人称が「ぼく」で年齢は非公表。性別や年齢を超越したがるのも、不思議ちゃんの傾向だ。また、かつての戸川純やCoccoを思わせるところもあり、これらの要素は多様性が尊ばれる最近の時流にも合致。あののような不思議ちゃんに、今は追い風が吹いているのではないか。
そういえば、代表曲のタイトルも『ちゅ、多様性。』。今年の大みそかには「紅白」で不思議ちゃんぶりをふりまいているかもしれない。