ソロアイドルの全盛期が終わってから約30年以上が過ぎた。山口百恵さん(63)や小泉今日子(56)、中森明菜(56)ら大物ソロアイドルを輩出した日本テレビ系『スター誕生!』(1971年~83年)の終了からは丸40年になる。
ソロアイドルがなかなか誕生しないのはなぜか
大手レコード会社と大手芸能プロダクションが合同で行っていたソロアイドルのオーディションも1990年代半ばに消えた。アイドルと言えばグループを指す時代。どうしてなのだろう。
複数のソロアイドルを育てたレコード会社OBが解説する。
「1985年のおニャン子クラブ結成が大きかった。ソロでは目立ちにくくなってしまった。また、グループアイドルの大半が使う歌唱法のユニゾン(メロディーを同じ音程で重ねて歌う)は技術的なレベルは低いが、その歌声はソロより迫力がある」(レコード会社OB)
確かにソロアイドルのデビューラッシュはおニャン子の登場した1980年代半ばで終わった。明菜、キョンキョン、石川秀美(56)、堀ちえみ(56)、早見優(56)たちが1982年に一斉にデビューした後、1985年に南野陽子(55)中山美穂(53) 浅香唯(53)らがデビューしたのがピークだった。
島崎和歌子(50)がソロアイドルとしては恵まれなかったのはよく知られているが、やむを得なかった。デビューした1989年の時点でソロアイドルの時代が終わっていた。同じ年、永作博美(52)が所属していた3人組アイドルグループ・ribbonがデビューしている。
そもそもアイドルとは何か。いつから日本に存在するのか。まず、日本のアイドル第1号は諸説あるが、正しくは1971年にデビューした南沙織さん(68)にほかならない。アイドルという言葉を日本に持ちこんだ元CBS・ソニーの敏腕プロデューサーの故・酒井政利さんが、南さんをデビューさせるにあたって、そう呼ぶことにしたからだ。
アイドルの意味は「偶像」。生前の酒井さんによると、南さんの歌が抜群にうまく、神秘的な美しさを持っていたから、そう呼ぶことを決めた。世間から手が届かない存在という意味が込められていた。
以降の1970年代のソロアイドルも普通の女の子とは違う雰囲気を漂わせていた。麻丘めぐみ(67)、アグネスチャン(67)、百恵さんらである。
ソロではないが、キャンディーズは1977年の解散宣言時に「普通の女の子に戻りたい!」とファンに訴えたくらい。つまり普通じゃないのがアイドル。それは1980年代に入ってからも続いた。