ソロアイドル誕生はこの先あるのか

 2005年に活動を開始したAKB48、2011年に結成された乃木坂46なども卒業制度を採り入れている。どちらもプロデューサーは、最初に卒業制度を考え出した秋元氏だ。1人で戦うソロアイドルはますます厳しい時代になった。

「もうソロアイドルがグループに太刀打ちするのは難しい。だから今の街頭スカウトの対象は各社とももっぱら女優の卵」(前出・芸能プロダクションスタッフ)

 もっとも、芸能プロとレコード会社にとって、本当はソロアイドルのほうが望ましいのだという。

「アゴ足(食事代と交通費)だけ考えたって、グループは大変です。メンバー同士の人間関係にも目を配っていないとならない」(前出・レコード会社OB)

 ただし、AKBなど秋元氏がプロデュースするグループはメンバーの所属芸能プロがバラバラで、経費の負担が分散されている。おニャン子から40年近くグループを手掛けている秋元氏だけにウィークポイントをつくらないようにしている。

 もうソロアイドルの時代は到来しないのだろうか。

「はっきり言って来ない。グループ内の人気者すら卒業すると歌手になるのは難しく、タレントか女優でしかやっていけないのですから」(同)

 百恵さんや明菜も今の時代にデビューしていたら、グループの一員としてやっていくしかなかったのだろうか。

取材・文/高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)放送コラムニスト、ジャーナリスト。1964年、茨城県生まれ。スポーツニッポン新聞社文化部記者(放送担当)、「サンデー毎日」(毎日新聞出版社)編集次長などを経て2019年に独立。