“デブ”がポジティブワードになったら最高にうれしい

 この斬新なサービスを始めたのは、株式会社Mr.Blissのマイコー社長。もともとは広告のデザイナーだったが、'16年3月、40歳で大きいサイズ専門のメンズ服オンラインショップ「QZILLA by Mr.Bliss」を立ち上げ、'21年4月に「デブカリ」を開始した。

「もともと僕自身が、デブに対してめちゃくちゃ愛情があるんです。ニコニコ食べている姿を見ていると、こっちも幸せになるんですよね。キーホルダーにしたいくらい好き(笑)。

 アニメやドラマには必ずと言っていいほどデブの人が1人は出てくるじゃないですか。それくらい重要だけど、実際にはなかなか活躍できる場面が少ない。そういう場を作りたいなと思って、デブカリを立ち上げました。

 “デブ”って、今は悪口とかネガティブな言葉ですけど、実はひとつの個性。ポジティブワードとしてみんなが使うようになったら、最高にうれしいですね」

 登録者は現在、日本全国で約150人。一緒に食事をしたいという依頼が多いそうだが、なぜなのだろう?

「おいしいお店を知っているからというのもあるでしょうし、周りに大食いの人がいないので気を使わずにたくさん食べたい、という方もいらっしゃいます。

 珍しかった依頼は、消費期限が迫っていて食べきれなくてもったいないので、一緒に食べてほしいというもの。すごくすてきな発想だなとびっくりしました」

 よかったなと思う瞬間は?

「“自分たちが活躍できる場を作ってくれてありがとう”ってめっちゃ感謝されるんですよ。それは本当にうれしいですね。

 あと、みんながメディアで活躍しているのを見るとすごく幸せ。今年も1月1日からテレビの仕事で8人くらい派遣して。テレビを見ながら最高の気分に浸ってました」

 個人依頼の場合、料金はその場での支払い。手数料ゼロというから驚きだ。

「うちは服がメインなので、その宣伝になればいいと思ってるんです。あと、個人のやりとりの中で企業が入るとおもしろくないと僕は感じるので。ビジネス案件では法人様から手数料をいただいていて、そこで回収できているので大丈夫ですよ(笑)」

 目標は「デブのエンターテインメント会社になること」という。

「ファッションだったら僕らに頼ってくれたらカッコよくなれるし、デブが必要であれば派遣しますし。エンタメのど真ん中として、総重量225キロの2人組女性アーティストDelicious Renaissanceのプロデュースも始めました。僕らと関わったらデブのみんなのライフスタイルがちょっとよくなる、そんな存在になれたらなと思ってます」

デブカリ公式HP→https://www.debucari.com/
れきさんのツイッター→https://twitter.com/rekisitekirrrr

〈取材・文/いくしままき(体験リポート)〉