硬くなった血管は古いゴムホース
「動脈硬化を起こした血管は、まさに古くなったゴムホースのようなものです」と警告するのは、血管の働きと運動の関係が専門の岡本孝信教授だ。
「健康な血管は指で押しても簡単にへこむほど柔軟性がありますが、動脈硬化が進むとまったくへこまないほど硬くなります。そして、古いゴムホースにひびが入るように傷みやすくなってしまうのです」(岡本教授、以下同)
硬くなった血管は、心臓の拍動で勢いよく送り出される血流の勢いを、クッションをきかせて受け止めることができない。すると血流の勢いが血管壁を直撃。
このことが血圧を上げたり、血管を傷つけたりするため、血管病のリスクが高まってしまうのだ。
「でも、人の身体にはもともと血管をやわらかくする仕組みが備わっています。その仕組みは、血流をよくすることで活性化します。そして、国内外の研究から、とてもラクな運動でその効果が得られることがわかってきたのです」
その「ラクな運動」として岡本教授がすすめるのが、1日に1〜2分、手を握ったり開いたりするだけの「ニギニギワザ」だ。
「身体の末端にある手のひらを開閉すると、筋肉が縮んだり緩んだりすることでポンプのような働きをするため、全身の血流がよくなります。
この血流の刺激を血管の内側にあるセンサーが感じると、血管からNO(一酸化窒素)が出てきます。このガスが、血管をやわらかくする働きをするのです」
血管がやわらかくなると、血管が広がりやすくなるため血圧が下がる。実際に高血圧の人にこのワザを行ってもらった岡本教授の研究でも効果が確認されている。
ニギニギワザは、特に血管病のリスクが増す更年期以降の女性が予防として行うのもおすすめとか。血流がよくなれば冷え性の改善も期待できるというオマケ付きだ。
自分の血管を古いゴムホースにしないために、日々の習慣にしてみてはいかが?