コロナ禍や戦争といった暗いニュースが続く中、ペットに癒しを求める人が増えているという。SNSも毎日可愛いペットの画像や動画であふれている状態だ。
そんな中、「読むと泣いてしまう」と話題になっているペットの漫画があるという。現在『週刊女性』にて連載中の『ペット共生型マンション物語 ハイツ祐天寺へようこそ』(漫画 柏屋コッコ/原作 小林のえ)だ。ペット共生型マンション「ハイツ祐天寺」を舞台に人とペットの絆を描いた作品で、読んでみて確かにプロローグから泣かされた。
物語は、死にかかっている1匹の子猫から始まる。ペットショップで衝動買いされたマンチカンなのだが、哀れにも捨てられ、野良として必死に生き延びようとしたものの大雨の中で息絶えようとしていた。
その瀕死の子猫を会社員の大日向が偶然発見し、祐天寺にある動物病院に駆け込み治療を依頼。その後、祐天寺の街に魅了された大日向は無事回復した子猫とともに「ハイツ祐天寺」に転居し、そして管理人である動物好きの嶋祐介と出会い――。
それ以降はオムニバス形式で、さまざまな住人とペットたちの物語が描かれていく。「子どもの頃に飼っていた犬と再会した女性」、「最愛の夫を亡くし亀を飼うことになった未亡人」など、どの話もペットによって人が変わっていく様が温かく丁寧に描かれている。そして何より柏屋コッコさんが描く人とペットが魅力的で、深く感情移入してしまうのだ。原作者の小林のえさんに話を聞いた。
「人との距離の取り方が難しく、人に疲れることも多い世の中で、人がペットの一途さ、温かさに救われるような話を書きたいと思いました。今回、人間と動物の両方を力強く魅力的に描ける柏屋先生に作画を引き受けていただけたことは本当にラッキーでした。話の展開を知っている私でも、つい毎回漫画の中に引き込まれてしまいます」
そしてこの作品にはもうひとつ特徴がある。タイトルからもわかるとおり舞台が「祐天寺」という実在の街であることだ。作中に出てくる町中華などは祐天寺に実在する店で、「ハイツ祐天寺」もモデルになっている建物があるという。
小林さんは言う。
「実は、祐天寺は私の地元なんです。お隣の中目黒は再開発で激変しましたが、祐天寺の街は良くも悪くも昔から本当に変わらない(笑)。でもだからこそ、都会の中にポツンと残る昭和的な雰囲気は、舞台にしたらいい味が出るんじゃないかなって。そしてこれも柏屋先生が街並みを本当にリアルに描いてくださっているので、祐天寺在住の人は読むと皆驚くんですよ」
今回電子書籍として発売される第1巻ではマンチカン、トイプードル、白黒猫、亀などが登場しているが、今後も様々なペットが登場予定だという。ペットの温かさに涙し、ご当地ものとして祐天寺の街にも興味がわく、今後も楽しみな作品だ。