人間ドラマ型の刑事・警察作品から若い視聴者が離れてしまったので、『警視庁・捜査一課長』(テレビ朝日系、2022年6月終了)など幕を閉じた連ドラもある。現在は若い視聴者も観る新しい刑事・警察作品を各局が模索中だ。
その結果、3月まで放送されていた『警視庁アウトサイダー』(テレビ朝日系)のような作品も生まれた。俳優として国際的に評価の高い西島秀俊(52)にチンピラ刑事を演じさせたのだから、冒険だった。
『-教場0-』の視聴率推移から見る若年層の好み
『-教場0-』も新しい刑事・警察ドラマにしようとしているのが分かる。刑事指導官・風間公親(木村)と瓜原潤史(赤楚衛二・29)ら新米刑事との人間ドラマに徹することも可能だったはずだが、そうしなかった。
その結果、若い視聴者は観てくれているのか。第2話までの視聴率を見てみたい。
第1話(4月10日放送)
個人 7.2%
世帯 12.1%
T層 4.2%
第2話(同17日放送)
個人 6.6%
世帯 10.7%
T層 4.1%
T層が高い上、第2話でほとんど落ちていない。これだけ10代に観られている刑事・警察作品は現時点では存在しない。10代は義理人情の人間ドラマを好まぬ一方でミステリーは歓迎するようだ。
ちなみに月9の前作『女神[テミス]の教室~リーガル青春白書~』(フジテレビ系)の3月6日放送は個人3.7%、世帯6.0%、T層1.0%。若い出演陣が多かったにも関わらず、10代の支持が薄かった。『-教場0-』はT層が4倍になった。
第1話で被害者のホストクラブ経営者・芦沢健太郎(久保田悠来)がデパート販売員で犯人・日中弓(内田理央)の名前をタクシーの走行ルートに残した。犯人の名前を死の直前に残すのはイギリス作品によくある手法である。
第2話では子どもがいじめられて不登校になった溶接工・佐柄美幸(宮澤エマ)が担任教諭・諸田伸枝(山田キヌヲ)を撲殺した。校庭のブロンズ像の一部を切り離して凶器に使い、後から溶接して元に戻した。
どのエピソードも視聴者側に推理の材料やヒントが過不足なく提供された。ミステリーの鉄則が守られていた。