39歳のときに、番組制作会社を経営する男性と結婚した。

ちょうど2000年になるときでした。このまま40歳になるのもなぁ、と思うようになって。たまたま身近にニヤッと笑ってた人がいたんで、これはいい“物件”かと思って結婚したんです。でもね、それから3年ぐらいたってからわかった、私、結婚に向いてない(笑)。

 家事は大好きなんですが、どうやら私は誰かのためじゃなくて、自分のためにやりたいだけなんですね。別れるきっかけもなく、そのままいますけど。私が外泊しても、私の友達や後輩が何人も家に来て、騒いで泊まっていっても、何にも文句言わないので、そのまま続いてるのかもしれないですね。うちは最初から財布も別々だし、お互いにいくら稼いでいるかも知りません」

養子の申し込みもするも審査が通らず

 結局、邦子さんは子どもを持つ人生を選ばなかった。

若いときからもらいっ子をしようか考えたことはありました。女は普通に子どもを育てるもんだと思ってたんで。世界のどこの国の子でもいいからと養子をとる申し込みをしたんですけど、審査が通りませんでした。でも、思い悩んだことはないですね。

 仕事も途切れなくあって、タイミングを逃しました。まぁ、私のまわりには後輩たちがウジャウジャいて、早く育ってほしいなぁと願いながら、ご飯食べさせたり、面倒を見たりしているので、これでいいと思います(笑)」

 激動の30代を駆け抜けて、2000年に結婚し40代に突入。新しいワークバランスで過ごす中、46歳のときに乳がんが見つかった─。

構成・文/伊藤愛子●いとう・あいこ 人物取材を専門としてきたライター。お笑い関係の執筆も多く、生で見たライブは1000を超える。著書は『ダウンタウンの理由。』など