懸賞応募用のキーワードは、ツイートするだけで当選のチャンスがあるため、そもそもツイッターのトレンドに入りやすい。たいていのプレゼント企画は、番組名や商品名、せいぜいキャッチフレーズを投稿させる程度。その点、番組を見ていない人や、プレゼント目当てじゃないユーザーも「思わず反応したくなる仕組み」を作ったのが、「ラヴィット!」の功績だ。
そして、そのキーパーソンとなったのが、ほかならぬ山添さんだった。2021年11月2日の「ラヴィット涙の最終回」を皮切りに、「ラヴィット深夜へお引っ越し」「ラヴィット実は収録だった」「MC激怒で途中退出」のように、番組を見ていない人でも、詳細を確認したくなる真偽不明のフレーズを連発する。
番組関連のツイートが増える一方、ヒール役となった山添さんも「クズキャラ」を確立する。視聴者も出演のたびに「山添がなにを言うか」を気にしてしまう──。
このような、番組、山添さん、そして視聴者による「共犯関係」は、「ラヴィット!」を人気番組に押し上げた要因の1つだろう。
延焼する騒動とテレビ局の対応
とは言っても、放送開始から2年間、ここまでの炎上事案は起きなかった。その理由は、通常だとMCである川島さんの力量により「初期消火」が徹底されていたことにあると、筆者は見ている。山添さんをはじめとする出演者が、どれだけウソを並べても、即座に否定、時には非難しつつも、ツッコミで笑いに昇華する。ここまでが「パッケージ」なのだ。
SNS上ではワンシーンのみ切り出し、動画として拡散されることが珍しくない。そのため、すぐさま対応できないVTRが火種になってしまうと、スタジオでの掛け合いとは異なる対処法が必要になるわけだが、そのノウハウを持ち合わせていなかったのかもしれない。
もっとも今回は、いくら「初期消火」しようとしても、かなり無理筋な事案だ。だからこそ、編集でカットせず、オモシロとして扱えると判断した、番組制作サイドの責任は大きい。
その点、放送3日後にTBS社員(田村アナ)が謝罪したことは本筋といえるが、「いちアナウンサーを番組や局の代表者として、視聴者が受け止めてくれるか」は、またべつの問題だ。
ここまで延焼してしまった以上は、放送局としての公式見解や経緯説明を、番組ではなく書面として出さざるをえないのではないか。