出世すごろくではオードリーに逆転負けしたオリラジ
一般的に言うと、人気商売では数字が重要視されます。視聴率や売り上げ、レギュラーの本数など、より多くの数字を持っている人が“勝ち”とされ、そこから自分の帯番組を持つという出世すごろくがありました。「あちこちオードリー」MCのオードリーとオリエンタルラジオは、かつて「笑っていいとも!」(フジテレビ系)で同じ曜日のレギュラーだったわけですが、テレビに出だしたのも売れたのもオリエンタルラジオのほうが先でしたから、当時はオリエンタルラジオのほうが“上”もしくは“勝ち”だったと言えるでしょう。しかし、今や、オードリーはラジオ番組を含めてレギュラー番組11本を持っていますし、「オードリーのオールナイトニッポン」(ニッポン放送)は、高い聴取率を誇っています。出世すごろくに則って考えるなら、今はオードリーのほうが逆転したわけです。
会社員にたとえると、入社当時こそ勢いがあったが、いろいろあって、今は思うような活躍ができていない人と、最初は目立たなかったけれど、徐々に認められ、力をつけてきた人のような感じです。それでは、スタートダッシュに成功したものの伸び悩んでいる同期が「俺が認められないのは会社がおかしい、上司がいつまでも変わらないのはありえない」とボヤいたとき、着実に積み上げてきた人はどう接するでしょうか。おそらく、「おまえにも悪いところがある」とダメ出しはせず、「そういう時もあるよね」と言葉を濁すように思うのです。なぜなら「できた人」が「できない人」にいろいろ言うとイジメみたいですし、「できた人」には“勝者の余裕”がありますから、自然と優しくふるまえるのではないでしょうか。
また、人間には自分の自尊心を保つため、「自分より下の人間を見て、心を安定させたい」という欲求があると言われており、心理学ではこれを『下方比較』と呼んでいます。どんな事情があったかはわかりませんが、あっちゃんは番組のMCになれなかったのは事実なわけで、「できなかった人」です。一方のあっちゃんをゲストとして迎える番組のMCやレギュラー陣は選ばれた人、つまり「できた人」です。下方比較的な心理が働けば、「できた人」は「できなかった人」をそう敵視することはないでしょう。