「数打てば当たるを狙ったような内容ではなく、しっかりした文章だったので返事をしてみようかなと思いました。あと、性的嗜好が一致していたからです。どんな嗜好なのかは言えません」

 大いに気になることを言う真紀さん。当時、かなりぶっちゃけたプロフィール文をサイトに載せていたのだろう。それを読み、「しっかりとした文章」を書いて送る健太さんもなかなかの若者だ。

「コロナで大学の授業がオンラインになり、生活が単調になっていました。新しい刺激は新しい人から来るものだと思っています。メッセージのやり取りでも会ってからも真紀さんはちゃんと会話ができると感じました。会話のテンポが近いんです」

 高校時代に2人ほどと交際した経験があるという健太さん。いつか結婚したいというよりも「一緒に長く過ごせる人がいたらいい」というぼんやりした気持ちはあったと明かす。人や知識には触れていたいけれど、ビジネスには興味を持てないので大学院に進学。今後も会社勤めはしないつもりだ。

「計画性のない人間なので……。でも、子どもが生まれるのはすごく楽しみです。一人では得られない経験ですから。真紀さんと『どういう風に育っていくんだろうね』と話しながら赤ちゃんグッズを買ったりしています。かわいいだろうな~」

世間体を整えるための無理はしない

 なりゆき任せなところは真紀さんも似ている。健太さんと出会うまでは結婚をあえて意識することはなかった。

「35歳を過ぎると男性からのアプローチが格段に減ることは感じていました。同世代の友だちには婚活や妊活を頑張っている人もいます。でも、私は好きな相手としか結婚したくないという気持ちが強くて、子どもにしても特別養子縁組や里親という選択肢もあると思っていました。何歳までにこれを絶対にやらなくちゃ、という感覚はありません」

 世間体を整えるための無理はしないという点は、住む場所や働き方にも表れている。若い頃は海外に住んだこともあったが、今は親の近くに住むことが楽だと断言。仕事よりも、健太さんや親しい女友だちとの時間、旅行などにエネルギーを注ぎたいと思っている。

「友だちからは『自分自身を納得させるのがうまい人』と評されたことがあります。マイナスに思えるような出来事があっても、自分に必要な通過点だったと思うようにしているからかもしれません。他の人からはポジティブに見えるのでしょう」