タモリさんに憧れを抱いた短大時代
タモリさんに憧れを抱いた短大時代
【写真】『夢で逢えたら』時代の清水ミチコさん

 音楽コーナーでは、得意のキーボードを担当して中心的存在として活躍できたが、コント収録の日は憂鬱だった。

“ミッちゃんは今日もやる気がありませんでしたね”と、小学生から番組宛てに手紙が来たことがあります。スタッフは隠してくれたんだけど、私がその文面を見てしまって。あぁ、子どもにもバレたかと思いましたが(笑)、私としては、どこをどう努力したらいいかもわからない状態だったんです」

 収録には行きたくない、逃げたいという思いにかられたこともあったという。そんな悩みの中で生まれたのが、伊集院みどりというコントキャラクター。

みどりという船に救われる

後ろから見ると美人なのに、振り返ったらブスだった」という設定があったときに、自分の欠点を誇張したメイクをして、自意識過剰で性格の悪い女を思い切り演じてみた。すると、これが大ウケ。

「みどりという船に救われた!」と感じ、やっと番組に貢献できたとほっとしたそうだ。共演の仲間もウケるキャラクターが生まれたことを喜んでくれた。視聴者からも高く支持され、コントキャラ人気投票では1位を獲得するほどになる。

 ただ、番組で役割を担うことができた後も、そのままテレビの売れっ子となっていくことには戸惑いがあった。番組の後半期にやっと仲良くなった野沢直子さんと、

私たちは天下を取るとかではなく、ちゃらんぽらんな存在でいたいよね

 というような話を、男子チームのいない所でしたそうだ。

 番組は'91年11月に終了。ダウンタウンウッチャンナンチャンはそれぞれ冠番組を持ち、お笑いスターへの階段を駆け上がっていった。一方で、野沢直子さんは、ほかに活躍の場を求め、アメリカに旅立った。

 そしてミチコさんは、「自分はテレビには向いていないかも」という思いを抱え、メディアの仕事を続けつつも、独自路線を求めていくことになる─。

構成・文/伊藤愛子●いとう・あいこ 人物取材を専門としてきたライター。お笑い関係の執筆も多く、生で見たライブは1000を超える。著書は『ダウンタウンの理由。』など