長雨による土砂崩れ、河川の氾濫にも注意

 まず、危険度第1位に挙がったのが【東北ゾーン】だ。

「東日本大震災以降、太平洋側は隆起、日本海側は沈降を続けている状況。その境界となる奥羽山脈周辺にはひずみがたまっており、地震を誘発しやすいといえます。

 また、岩手県北部と福島県南部では隆起の速度が異なる地域が現れており、ここでもひずみが生じやすくなっています。

 さらに、5月には前週と比べて1cm以上の急激な沈降を観測した地点が岩手県に多数現れました。沈降地域周辺は地震のリスクが高いといえるため、引き続き警戒を続けてください」(郭博士、以下同)

 危険度第2位は【首都圏・伊豆諸島ゾーン】。

「最も警戒していた新島・神津島近海では22日にM5.3の地震が発生。伊豆諸島は式根島や神津島が沈降、新島や三宅島が隆起しており、ちょうどその境界線上が震源となっています。

 すでに地震が発生しましたが、不安定な状況は変わらないため、今後も注意が必要です。

 また、東北日本と西南日本の境目となるフォッサマグナ西端の梓川地点や本川根地点などで5月頭に急激な隆起の数値が現れました。その影響は富士山周辺に及ぶため、関東全域でも引き続き警戒が必要でしょう」

 第3位は【近畿ゾーン】。特に紀伊半島で気になるデータが観測されているという。

「前週と比べて1cm以上急激に隆起した地点として、京都府の【京都加茂】、奈良県の【下北山】【十津川】、和歌山県の【串本】などがあり、局所的に急激な隆起が起こっています。

 今回新たに『ピンポイント予測』が発出しており、6月21日までにM5.5クラスの地震が起こる可能性が高いため、警戒してください」

 第4位は【九州ゾーン】。北部・南部ともに注意が必要だ。

「全域が沈降傾向にあり、特に急激に沈降した地点が福岡県の【福岡】から鹿児島県の【屋久】まで全域にわたって見られます。

 この状況は2016年の熊本地震のときにも似通っており、ピンポイント予測を発出するM6レベルではないものの、M5クラスの地震が起こる可能性があるため、要警戒エリアです」

 梅雨の時季に起こる地震豪雨や土砂災害とも関連して被害が大きくなりやすい。

「特に直近で大きな地震が起きたエリアの山間部などは、地盤が緩んでいる可能性があります。長雨によって土砂崩れや河川の氾濫なども起こりやすいため、地震だけでなくそういった災害に対する備えも十分にしておきましょう」

 これまでも数々の地震予測を的中させてきた『MEGA地震予測』。世界最高峰の学術機関のひとつである「中国科学院」で博士号を取得し、村井教授のバトンを引き継いだ郭博士に、地震予測研究にかける思いを聞いた。

地震を的確に予測し、事前に警戒を呼びかけることで地震被害を少しでも抑えられ、そこで助かる命もあります。研究の重要性を胸に刻み、いずれは日本だけでなくアジア全域での地震予測の研究にまで広げたいですね。

 そのためにも、まずは日本での地震の予測精度をさらに向上させて貢献していきたいです」

 進化する予測技術に希望を持ちつつ、この夏も地震への備えは忘れてはいけない。