実質、今後も権力を握るのは猿之助
盤石に見えた猿之助の権力を脅かす存在が、香川と團子だった。
「猿之助さんは結局、猿翁さんの弟・段四郎さんの子。順当にいけば、いずれ猿之助は團子さんが継ぎます。そのため、澤瀉屋の中では猿之助さんより團子さんに取り入るような動きがあったんです。水面下では、香川さんが段四郎を継ぐという話まで浮上していて、猿之助さんの求心力は低下していたんです」
結果、猿之助の悪行を告発する密告者が現れたという。
「猿之助さんは自分が恨みを買っているという自覚があるだけに、権力を失えば、どれだけ冷遇されるかもわかっていた。あのままハラスメント報道の謝罪などしたら、半隠居状態に陥ったかもしれません。しかし今回、両親を巻き込んだ自殺を決行したことで、ハラスメントの事実はうやむやのまま。“恋仲だった”という十字架を背負わせることで、Mに裏切られた猿之助さんへ同情的な見方まで出てきています」
命を取り留めたことで、香川や團子の行く末にも、少なからず影響が生じている。
「今後、猿之助さんの舞台出演が叶わなくとも、猿翁さんのように澤瀉屋の実質的権力は握ったままになるでしょう。澤瀉屋の後継者を任命するのは猿之助さんですから、團子さんの株が上がっても跡継ぎになれるかは彼次第。右團次さんらが澤瀉屋に復帰するという話も難しくなるでしょうね。そんな猿之助さんは過去のインタビューで“万人を敵に回しても自分が正しいと思ったらそれに殉じる男でいたい”と語っていました。
あの人は自分の命を危険に晒してでも考えを貫けるんです。一家心中の証言をする人がいない以上、警察にどこまで正直に話すのか……これからの展望を冷静に見据えていると思います」
一連の騒動が猿之助の打った大芝居だとしたら、決着はどうなるのか─。