更年期はホルモンの変化で痛みが出やすい
更年期にさしかかると、身体のあちこちに痛みを感じることが増える。痛みで朝起きるのが憂鬱(ゆううつ)な人もいる。
「痛みの閾値(いきち)、つまり痛みの感じ方は人それぞれです。そのため、ペインクリニックでは、痛みの強さ(10段階)、痛みの性質(チクチク、ズキンズキンなど)、日常生活支障度、生活の質の4つの指標で痛みを評価します。
更年期になると女性ホルモンのエストロゲンが減ってきます。すると、痛みの閾値が下がる傾向にあります。それで節々の痛みをより強く感じてしまうことがあるのです」
更年期は痛みにも弱くなりやすい、というのは驚きだ。また、中高年は起き抜けに膝や腰に痛みを感じることも多い。
「患者さんの話を伺うと、“朝の動き始めが特に痛い”と訴える方が多い。
膝の場合は、“変形性膝関節症”の可能性があります。これも女性に多く見られる疾患で、年齢とともに膝の軟骨がすり減ったことから生じる痛みです。
腰は、椎間板や骨の変形により腰痛・座骨神経痛が起こる“変形性腰椎(ようつい)症”が疑われます。わかりやすく言うと腰の老化ですね。典型的な椎間板ヘルニアは、時間帯を問わず動いたら常に痛い。
一方、変形性腰椎症はいつでも痛いけれど、朝の動き始めが一番こたえるといわれています。これは“スターティングペイン”といって、歩き出す1歩目や何か行動する最初に感じる痛みのことです」
スターティングペインは、動き始めてしばらくたつと軽減するため、「喉元過ぎれば」で治療に踏み出さないままになってしまう人も。