まじめな人ほど慢性痛になりやすい
「痛みは早期発見が大切です。私は慢性痛が専門なので、中には20年ものの腰痛を持つ患者さんもいますが、早めに対処することで一生ものの慢性痛になることを防げたはずです。
例えばリウマチだったら、血液中にリウマチを確認できるバイオマーカーがあります。一方、似た症状の線維筋痛症はそれがない。診断が早ければ、それぞれの病気に適した治療ができます。
50歳以上の方は、帯状疱疹の後遺症である帯状疱疹後神経痛に長期、悩まされる方もいますが、これも早期対処で防げます」
慢性痛になってしまう人にはまじめで頑張り屋さんが多い印象、と河合先生。痛みが慢性的になれば、生活の質や人生の幸福度も下げてしまう。異変を感じたら、まずは何科を受診すればいいのだろう。
「運動器と言って、運動にかかわる場所は整形外科へ。首から下で動く部分の痛みは整形外科です。お腹の痛みは内科や消化器内科。
胸、胸部は、内科でも呼吸器内科か循環器内科。痛みプラス何か特有の症状がある場合、背中が痛くて、尿に血が混じる、それなら泌尿器科。
腰が痛いなら整形外科。腰の痛みがいつも月経の時なら婦人科へ。痛みプラス、特有の兆候がある場合は兆候の出ている科の受診がおすすめです」
痛みの感じ方は人それぞれ。その痛みでどれだけ生活の質が落ちているか、日常生活が困難になっているか。しっかり診療を受けて、痛みゼロの状態に近づけたい。
「安静時から動き始める朝は、自分の身体の変化に気がつきやすい時間帯です。例えば、50代以降の女性に多い三叉(さんさ)神経痛は、頬や鼻など顔に痛みが生じます。そのため朝の洗顔や歯磨きの時などに、気づきやすい。メンテナンスの気持ちで、身体の痛みに耳を傾けることが大事ですね」
朝に痛みが出る主な病気
関節リウマチ
免疫の異常により関節に炎症が起こり、関節の痛みや腫れが生じる病気。進行すると、関節の変形や機能障害を来す。原因は不明。関節症状に加え、貧血や微熱、全身倦怠(けんたい)感などの全身症状を合併することもある。
冠攣縮性狭心症
冠動脈の収縮により血流が低下し、心筋への血液供給が減少することによって生じる狭心症のこと。長時間、攣縮が続いて冠動脈が閉塞すると、心筋梗塞を併発するおそれがある。危険因子は、喫煙、アルコール、ストレス、寒冷気候など。
変形性腰椎症
腰椎の加齢変化によって腰痛などの症状が出るものの総称。変形が進行すると、脊柱管狭窄(きょうさく)症、変性すべり症などになる。女性は更年期障害の一環として起き、循環障害や骨粗鬆(こつそしょう)症を伴うことが多い。
※症状には個人差があります。気になる場合は自己判断はせず医師の診断を受けましょう
(取材・文/ガンガーラ田津美)