習慣2:タバコは吸わないけど、3合のお酒は欠かさない

 がん検診と並んで大事なのが生活習慣の改善。

「喫煙はあらゆる臓器のがんの発症リスクを高めることがわかっているので、私は吸いません。また、適度な運動ががんを遠ざけるので、30分のランニングを日課とし、肥満もリスク因子なので、食事にも気を使って適正体重を維持しています」

 さすが、がんを経験した先生。だとすると、飲酒も控えてる?

「たしかに、日本人の適量といわれている1合以上の過度の飲酒はがんのリスクを高めます。ただ、がんになってしばらくは酒量が減っていましたが、3か月くらいたったら以前と同じく毎日3合飲んでいます(笑)」

「タバコは吸わないけど、3合のお酒は欠かさない」※画像はイメージです
「タバコは吸わないけど、3合のお酒は欠かさない」※画像はイメージです
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 がんのリスクが高くなるのなら意外な気もするが……。

がんの予防ももちろん大事ですが、がん予防のためだけに生きているわけではありません。私にとってお酒を楽しむ時間は、リラックスできてストレス解消にもなるので、がんのリスクと天秤にかけてお酒のほうをあえて選んでいます。

 もし飲酒がタバコの受動喫煙のように、他人の健康を害するなら話は別ですが、自分らしく生きるうえで大切なことまで無理にやめる必要はないと思いますよ」

 生活習慣を見直しつつも、がんを必要以上に恐れず、いまを楽しく生きる。これも、がんになった医師だからこその健康習慣かもしれない。

習慣3:昼ごはんは抜いてカロリーをとりすぎない

「私は朝食はナッツとフルーツ、飲むヨーグルト程度で済ませ、昼は食べません。診療や研究で忙しいこともありますが、余計なカロリーをとりたくないというのも理由のひとつです」

 カロリーを制限すると寿命が長くなることはマウスやサルを使った実験で広く認められているという。

 例えば、人間とDNAの93%が共通するアカゲザルに与えるエサのカロリーを3割制限したところ、がんなどの発症率が減少し、寿命が大きく延びたのだ。

「アカゲザルの平均寿命は約26歳、最長寿命は約40歳ですが、カロリー制限をしたアカゲザルのなかには43歳まで生きるサルもいて、最長寿記録を塗り替えたそうです。43歳は人間では129歳に相当するので、驚きですね」

 カロリーを減らすとがんが減る理由のひとつは活性酸素。がんを引き起こす活性酸素がカロリー制限をすると抑制されるため、がん発症が少なくなって寿命が延びたと考えられる。

「もちろん、過剰なカロリー制限は危険ですが、腹八分目くらいの食事節制はがん予防に役立つのではと思います」