また、子どもをかばう文脈で、「自分が被害者だということを言うつもりはありません」と言いつつも、

「今、自分や相手の子どもたちは、自分と自分の妻のせいで、妻の不倫相手のせいで、とんでもない被害者になっています。皆さんだけのせいとは思いません。自分がもっと早く彼女を止めていればよかった。もっと早く鳥羽氏の自宅に行っていればよかった。メディアよりも先に止めることができていれば、こんなことにはならなかった。自分にも責任があります」

 とも、言っています。

 ジュン氏は社会活動をする中で、「これまでの活動を結局は誰かのせいにしている自分がいました」と語るように、家族のことも、不倫のことも、自分の責任で事を運んでいこうと試みてきたものの、自責と他責の所在に混乱し、苦悩しているのではないかと考えられます。

亀裂が広がった要因とは?

 一方、より広くジュン氏の心境を推測するうえで、気になる言動が質疑応答時に垣間見られました。

「あなたが出ていってくれれば、私が子どもたちと一緒に寝られるから。あなたがいるから私が寝られないんだ」と涼子氏に言われ、「あなたが今、大変な状況なんだから、家にいないで一人になったほうがいいんじゃないか」とジュン氏が言った、というくだりがあります。

 この辺りは、涼子氏が不安定なときにジュン氏や家族、関係者間で具体的にどんなやり取りが行われたのかわからないため、勝手な解釈は慎まなくてはなりません。

 しかし、この会見を独断で行ったことや「大変な状況なんだから、家にいないで一人になったらいいんじゃないか」という言葉から、問題の解決法や心の捉え方にズレがあり、その亀裂が次第に大きくなっていったのではないかと思われます。

 なお、会見中、ジュン氏は、メディアによる切り取りを好ましく思っていない旨の発言をされています。そして、この記事もジュン氏の発言の切り取りです。

 また、ジュン氏の会見内容も、ジュン氏の想いの切り取りです。今回の件をある程度把握するには、ジュン氏の会見全体の映像を見るだけでなく、涼子氏の「声」も聞くことが重要だということを最後に追記しておきたいと思います。


清水 建二(しみず けんじ)kenji shimizu
株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役
1982年、東京生まれ。防衛省研修講師。特定非営利活動法人日本交渉協会特別顧問。日本顔学会会員。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でメディア論やコミュニケーション論を学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。著書に『ビジネスに効く 表情のつくり方』イースト・プレス、『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』フォレスト出版、『0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』飛鳥新社がある。