藍さんはマネー教育の一環として、子どもができる範囲で、家の仕事を引き受けることもすすめている。

「大人が働いて給料を得るように、家事の分担を決め、その対価としておこづかいを支払います。わが家の場合、息子が小学生のときは週3回の洗濯物たたみと皿洗い、部活と勉強で忙しくなった中学生のときは夕方帰宅時の新聞取りと週1回の皿洗いを仕事としました。このようにその子のできる範囲でかまわないので、家族の一員として責任を持ち仕事を遂行してもらいましょう」

 親がその都度、頼む通常のお手伝いも、仕事ごとに金額を設定しておくといいそう。

「子どもがもっとお金が欲しいと思ったときに、働いてお金を得られる仕組みも整えておきます。家計に響くことのないように、上限額をあらかじめ決めておけば安心」

 これらの合意内容は書面にして明文化。最後は親子で「おこづかい契約書」にサインを。

「大人になれば、スマホ購入やアパート賃貸などさまざまな場面で契約を結びますから、その練習にもなります。なお、契約内容は年1回など必要に応じて見直しましょう」

 その後は、見守る姿勢で、親子ともに契約を遂行していく。

「最初のうちは、おこづかいを渡したらすぐ使い切ってしまったなんて失敗も。しかし、その経験を経て、子どもはお金の使い方をコントロールできるようになります。ですから親から見て無駄づかいに思えるときも手出しは無用。ただし、発達心理学の観点から、小さければ小さいほど長い時間の見通しを立てることが難しくなります。ですから、おこづかいは週単位で渡して、容易にリセットできるようにするといいでしょう」

 辻ちゃんの長男のようにお金の使い方が気になる子どもでも、このやり方は有効?

「もちろんです。お子さんは大きく分けて、コツコツ貯めることができる子と、どんどん使いたくなる子の2つのタイプがあると感じますが、後者こそおこづかい契約が非常に有効です」

 子どもがお金をねだってきたそのときがチャンスかも!?

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お話を伺ったのは……藍 ひろ子さん●長年、出版社で雑誌および書籍の編集者として、育児・教育分野の仕事に携わったのち独立。公認心理師でもある。著書に『誰も教えてくれなかった正しい子どもの育て方』(主婦の友社)がある。