大人になって食物アレルギーを発症する人の特徴3
現代の医学においては、はっきりと発症のメカニズムはわかっていないが、臨床的に言えることは以下の3点(鈴木先生)。
1. アレルギー反応を起こしやすい体質
アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などのアレルギー反応を起こしやすい体質の人。親、兄弟、姉妹にこういう人がいれば、自分も同じ生活環境で過ごし、体質遺伝もあるのであてはまる。
2. 食べ物に多く触れる人
食品工場や飲食店など、原因となるアレルゲンに触れたり吸入する機会が多い人は要注意。皮膚のバリア機能や肺の防御機能が弱い場合、アレルゲンを多く取り込んで発症しやすい。同じ理由で毎日料理をする主婦も発症しやすいといえるかもしれない。
3. 花粉症の人
花粉症のある人は、似たような構造である果物のアレルゲンにも反応する「交差反応」で、果物の食物アレルギーを起こしやすい。果物やナッツ、豆乳などを口にした際にピリピリする症状があれば注意を。
大人がなりやすい食物アレルギーのアレルゲンはコレ
子どもの食物アレルギーのアレルゲンは、卵、牛乳、小麦の3つが多いが、大人になってから新たに発症する場合は、海産物が多いことがわかる。
このことから、「じつはエビ・カニ、魚そのものがアレルゲンなのではなく、それらが体内に取り込んでいる『アニサキスのタンパク質』が本当のアレルゲンではないかという疑いがあり、研究を進めています」(鈴木先生)
教えてくれたのは……鈴木慎太郎先生●昭和大学病院(東京都品川区)呼吸器・アレルギー内科医で、一般社団法人アニサキスアレルギー協会の理事も務める。食物アレルギー、動物・昆虫アレルギー、薬物アレルギーなど、さまざまな分野のアレルギーに精通するエキスパート。
さとなお(佐藤尚之)さん●電通を経て、コミュニケーション・ディレクター&クリエイティブ・ディレクターとして活躍。さとなお名義で数々の食の本を執筆する自他共に認める食通。57歳のときにアニサキスアレルギーを発症し、闘病を続けている。
(取材・文/野沢恭恵)