【年金】に関するマチガイ常識
夫が亡くなったら妻は遺族年金で暮らせる
夫に先立たれた場合、妻など残された家族には遺族年金が支給される。その金額を勘違いしがちだ。
「公的年金は、国民年金(基礎年金)と厚生年金で構成され、合計金額が老後に支給されます。夫が会社員の場合、妻に遺族年金として支給されるのはその厚生年金部分の4分の3です。これを国民年金部分も含めた総支給額の4分の3と思っている人が多い」
例えば、夫の年金額が18万円で国民年金6万円、厚生年金12万円の内訳だったとする。正しい支給額は12万円の4分の3で9万円だが、18万円の4分の3で13万5000円と誤解しがちだ。
「人によっては生活していくのに不十分ということもあり得ます。現実を知り、自力で備えておかなければならないわけです」
個人年金は入っておいたほうがいい
保険会社が提供する個人年金保険。公的年金の不足分を補うのに適するが、商品性を理解せず申し込むのはNG。
「個人年金には、決められた年金を受け取る『定額型』と、保険料の運用成績によって年金の受け取り額が増減する『変額型』があります。利率で勝る変動型のほうに目が向きますが、保険料を支払い続けるかどうかを見据えなければなりません。
中途解約した場合にはペナルティーがあり、大きな損につながるからです。投資信託の長期積み立てなど他の選択肢も踏まえて検討してください」
年金が増えるので我慢して繰り下げて受給したほうがいい
公的年金の受給開始年齢を繰り下げると、受給額は増える。繰り上げは逆に減るから、我慢して遅らせるのが正解!?
「重要なのは老後の状況です。その時点で生活に困っていたら繰り上げ受給し、困っていなければ繰り下げて長生きリスクに備えればいい。夫婦2人の場合、夫は通常年齢で年金受給し、妻のほうは繰り下げて年金を増やすというのもひとつの手ですね」
年金に税金はかからない
公的年金も課税されるのが正しい。一定の年金額を超えると税金をとられるのだ。
「年金額が65歳未満で年108万円、65歳以上で158万円を超えた場合、所得税の課税対象になります。
税金のほか介護保険料などの社会保険料も発生します。ねんきん定期便の記載金額=支給額ではなく、そこから税金や社会保険料を差し引いた額が年金の手取りです」