【保険】に関するマチガイ常識
年を取ると病気のリスクが上がるので医療保険はマスト
50代ともなれば病気の心配はつきもの。医療保険の加入や、すでに加入している場合は手厚い保障への切り替えを検討しがちだが……。
「貯金が十分あるなら、医療保険はマストではありません。50代から新規加入すると保険料は高くなります。
平均余命までの保険料の総支払い額と、得られる保障内容の、元を取る入院回数などを考えてみて、保険料負担額のほうが多ければ預貯金で賄ったほうがいい」
損害保険はたくさんかければ多くもらえる
事故や火災などの損害は金額が大きく、貯金ではカバーできないことも多い。そのため損害保険に加入しておくのは正解だが、過剰な備えには問題があるという。
「損害保険に複数加入しても、手厚く掛けた保険金が全額支払われるとは限りません。
生命保険は複数加入でも契約どおりですが、損害保険の場合は『実損てん補』といって実際の損害をカバーする仕組みなので、手厚く掛けても損害額を上回る保険金は支払われないのが原則。
知らずに複数加入しているケースも含め見直して一本化し、保険料のムダを省きましょう」
【ローン】に関するマチガイ常識
金利が低いから住宅ローンの繰り上げ返済は不要
持ち家で住宅ローンを抱えているものの、低金利だから繰り上げ返済は意味なし。そう思っていたら要注意だ。
「老後に住宅ローンが残っていると、現役時代より収入減に陥る家計を圧迫することになります。低金利といっても銀行の預金金利を上回っています。
銀行に預けっぱなしのお金があったら、定年前に繰り上げ返済に回し、住宅ローンを完済しておくのが賢明です」
無理してでも持ち家があったほうがいい
高齢になると賃貸物件を借りられないリスクがある。そこで早く持ち家を入手すべく住宅ローンを組むと、思わぬ落とし穴が潜んでいることも。
「夫が重篤な病気にかかって働けなくなり、住宅ローン返済に行き詰まるケースです。私の相談者の例では50代に見られました。持ち家の選択は間違っていませんが、50代なら万が一に備えておくべきでしょう。
毎月のローン返済をできるだけ抑える、『がん団信(所定のがんと診断されたときに以降の残債が免除される保障)』に加入するなどの策が考えられます」
子どもの奨学金返済は本人が行う
学費をサポートしてくれる奨学金制度。教育を受ける子ども名義で借り、返済も子どもが行うものだが、そうはいかない事態も起こりうる。
「学校卒業後、奨学金返済が滞る子どもも少なくありません。となると保証人である親が代わりに返済することを余儀なくされます。
問題なのは子どもの返済意識の低さ。子に対して親が『奨学金はあなたが返すのよ』と明言し、その意識を植えつけないと、老後資金を切り崩すことに」