時代の流れで差別用語になることも

 自然淘汰(とうた)される言葉がある傍ら、時代の変化の中であえて使われなくなったものも。“未婚の母”“鍵っ子”などがその代表だ。

「これらは差別用語とされ、10年以上前からマスコミも使用を避けるように。Z世代は差別を厳しく禁止する教育を受けているので、下手に使うと顔を顰(しか)められてしまいます」

 かつて流行語の主な発生源はテレビであり、ドラマやCM、お笑いや歌だった。時は流れ、若者のテレビ離れが進む今、流行語の発生源も大きく変わってきた。

「今の時代はインターネットが普及してSNSが発信源になることが圧倒的に多い。“ぴえん”“ぱおん”“親ガチャ”などZ世代が使う最近の流行語はハッシュタグやSNSで広がりました」

 ネット発の流行語は数あれど、昭和世代にとっては謎の言葉も多い。例えば、先ごろニュースにもなった“蛙(かえる)化現象”。好きな相手が自分に好意を示すと途端に冷めてしまう現象を指すが、

「追いかけていた人が振り向いてくれたらうれしいよね、というのが上の世代の恋愛観。なので、もともとの感覚がすでに違うんです」

 言葉と、その背景にある価値観の隔たり。昭和の時代とは流行りすたりの生滅(しょうめつ)にも違いがあると牛窪さん。

「昔はテレビにしても全世代が同じものを見ていて、そこから流行語が生まれてきました。でもZ世代では興味の対象が多様になり、自分の関心があることだけハッシュタグでフォローしていく文化。

 広く誰もが目にしないので、今は流行語が生まれにくく、定着しにくい時代ですね。また若者は、大人が流行語を使い始めると、もう古いと思い使わなくなるので、新陳代謝に拍車がかかっています」

 だが今の若者は前出のように“むずい”“めんご”などの言葉を使っており、昭和世代の言葉を必ずしも嫌悪しているわけではない。

「今のZ世代は一般的に親や祖父母と仲がいいので、昔の言葉をバカにしているわけではありません。むしろ言葉を媒介につながれるのが、彼らもうれしいのです」

 しかしここで気をつけるべきポイントがあると牛窪さんは言う。

Z世代に“その言葉どういう意味?”と聞かれて、“こんなことも知らないの?さすが今の若者は”といった態度をとると嫌われます。

 逆に“バブルの時代はこんな言葉が流行ってたんだよ。今思うとホントばかばかしいね!”という言い方だとZ世代にとっても受け入れやすいし、興味を持ってもらえるのでは」

 折しも今はレトロブームの到来で、昭和言葉の人気が再燃。流行言葉を上手に駆使し、若者とのコミュニケーションツールにしてみては?