「“セットメニュー”をこなされた19日は、ハードな1日でしたが、その日の夜も、両陛下そろって残留日本兵の子孫たちと面会されました」
21日と22日はジャカルタのホテルで静養された雅子さま。陛下は古都ジョグジャカルタへ移動し、この地域のスルタン(王)であるハメンクブウォノ10世と会見された。
継承問題は“家庭の話”
「ジョグジャカルタは現在、深刻な王位継承問題を抱えています。スルタンは男子世襲制ですが、ハメンクブウォノ10世の子ども5人は全員女性。後継者として長女を指名しているのですが、ほかの王族たちが反発し、王室全体を巻き込むトラブルに発展しています」(全国紙記者、以下同)
日本では、女性宮家や女性・女系天皇に関する議論が展開され、“天皇家の長子である愛子さまに皇位継承を”という声も一部で上がっている。
「ジョグジャカルタの王位継承問題の渦中にいるハメンクブウォノ10世の長女は、いわば愛子さまと同じポジションです。女性の王位継承が、王室を分断するような事態になっていることは、愛子さまにとっても人ごととは思えないのではないでしょうか」
陛下のご訪問につき、地元の英字紙『ジャカルタ・ポスト』は“継承問題について、両者で意見を交わすことができれば”と報じていた。
とはいえ日本の天皇は、政治的問題に関与することが許されず、現地では「若い人たちの交流が重要」といったご発言にとどまったという。
「皇位継承に関する議論に進展がみられず、将来が定まらない愛子さまはもどかしい思いを抱かれていると拝察します。継承問題は天皇家にとって“家庭の話”。陛下は、他国の王室事情を仕入れることで、愛子さまに直結する課題にも向き合われているといえるでしょう」(河西准教授)
継承問題に懊悩しているのは、日本だけではないのだ。
河西秀哉 名古屋大学大学院人文学研究科准教授。象徴天皇制を専門とし、『近代天皇制から象徴天皇制へ―「象徴」への道程』など著書多数