《年を重ねていくと、いつからか女性だけが結婚するか仕事をするかを考えたりして(中略)今まで積み上げてきた仕事をどうしていくべきか》と迷い、続けて《女性だって結婚も出産もやりたい仕事も夢も全部選択していいという考えが広がるといいなと思っている》という。

 野球選手の妻だからといって、好きなことを諦めて後悔したくないと奮闘中だ。
頑張る里田、板野にエールを送るのは、女性の起業支援を行っている叶理恵さん(株)はっぴーぷらねっと代表取締役。著書に『うまくいく女性起業家だけが知っていること』鴨ブックス)。

「日本の場合、結婚している人を社会的に信用するという傾向があります。さらに結婚相手が一流のアスリートである場合、一流アスリートが選んだのだから、さらに信用できるだろうと思わせる効果が高いんです。商品化にあたり、結婚、出産を通して、その立場に必要だと思うものを打ち出したのも強みです。

 特にZ世代は、自分と年齢が近く、悩みが一緒という友達感覚で商品を購入しますから、里田さんや板野さんの商品が人気になるのはよくわかります。2人とも起業していることから、自分の力でやっていくという覚悟がくみ取れますよね」(叶さん)

「夫と並んで自分らしく生きていく」

(3)マンション・化粧品プロデュース業で大成功!「押切もえ

 モデルで、化粧品やファッションブランドのプロデュース。長編小説『浅き夢見し』で小説家デビューし、第2作『永遠とは違う一日』は第29回山本周五郎賞候補になるなど多彩な才能を発揮してきた押切もえ

 中でも不動産ビジネス界ではちょっと知られた存在で、マンションプロデュース業を行っている。建物外壁のタイルや室内のフローリングやキッチン、浴室の壁の配色などを担当。マンションの売れ行きに大きく関係する、最重要部分を任されている。

 プロデュースするマンションが建つ、町の雰囲気、歴史までその地域を調べ上げるのだといい、小説家らしく「文章からイメージを入れることが多くて、『どんな家に住みたいのか』を書いてまとめて練っていく感じ」と述べており、関係者も「非常に勉強熱心だ」と、その仕事ぶりに太鼓判を押す。

 1棟目が完成したのはまだ結婚前のこと。以降、仕事に励んでいたが、プロ野球の涌井秀章投手(現・中日)と結婚。押切もまた、“アスリート妻はかくあるべし”という枷にぶつかる。「すごく仕事が好きで、そんな自分が夫を支えられるのか」と思ったそうだ。

 その思いを涌井に告げると「仕事をしているもえちゃんが好きなんだから、やりたいことがあるなら続けてほしいと励まされて気が楽になった」とバラエティー番組で語っている。結婚後、2人の子どもの母になっても、仕事は続け、9棟目のマンションも完成。

 これまでに100億円近い売り上げに貢献しているというから、その実力は本物だ。

「この3人が特別なことをしているように感じますが、アスリートの妻=夫を支える内助の功という旧世代の固定観念が、揺らぎ始めているのがわかります。一歩後ろではなく、夫と並んで自分らしく生きていこうとする、今の時代の女性の姿といっていいでしょう」(叶さん)