痛みでわかる前兆
突然で強烈な場合はキケン 前兆ポイント
1度でも今までにないレベルの痛みを感じたら、まず“身体に何か起きている”と思うことが大切だと森先生。
「心筋梗塞、くも膜下出血など、どこかが裂けたり詰まったりしたときに共通する特徴は、突然の強い痛みです。頭や胸だけでなく、背中や肩などの強い痛みにも注意が必要です」
肩の激痛は心筋梗塞を疑うべし!
「“四十肩”“五十肩”だと思っていたら心筋梗塞だった、ということは少なくない」
と経験から教えてくれた森先生。整形外科を受診して、処方された湿布を貼って過ごしていたら、2日後くらいに息切れがひどくなって救急車で搬送。その後に心筋梗塞が判明するということも“あるある”だと話す。
「ジワジワくる加齢による肩の痛みに対し、心筋梗塞の痛みは瞬間的にバーンと強い痛みがくるという違いがあります。喫煙や飲酒の習慣がある、血圧が高い、コレステロール値が高いといった心筋梗塞のリスクが高い人は、“すぐ治るだろう”と思わず病院へ」
瞬間的な背中の痛みは命の危機を疑って
罹患すると、病院を受診する前に約2割が命を落とすといわれる大動脈解離。大動脈は胸部から腹部につながる太い血管で、そこが破裂すると瞬間的に強い背中の痛みが起きることがある。
「他の病気にも増して、一刻も早い処置が命を左右する病気。早めに病院に行くことができれば、手術や内科的治療で治せる確率が高まるので、初期症状を見逃さないことが生死を分けます。背中の痛みと同時に胸の痛みが生じることもあるので覚えておいてほしいです」
膵臓の腫瘍によって膵炎が引き起こされた場合も背中の痛みが出る場合がある。
片頭痛と危険な頭痛の見分け方とは
「くも膜下出血を代表とした脳出血もすぐに病院を受診してほしい疾患で、その初期症状として頭痛が起こります」
しかし、普段から片頭痛がある場合“いつもの頭痛”との見分けはどうすれば? 危険な頭痛の見分け方は2つ。
「1つ目は、今まで経験したことがないほどの痛みであること。2つ目は、“〇時〇分に起きた”と言えるほど、頭痛が起きた瞬間がはっきりわかるものであること。こういった頭痛が起きたときは、即刻救急車を呼ぶべきです」
片方の脚の痛みが切断の危機にまで発展!?
「脚の血管が硬化したり、狭くなることで血流が悪くなる『閉塞性動脈硬化症(ASO)』という病気があります。発症すると、脚に酸素が行き渡らなくなり、痛みを伴うようになります」
両脚が同時に発症することは稀(まれ)で、激しい運動をしていないにもかかわらず片方だけに強い筋肉痛のような痛みを感じたら危険信号。
「最初は少し休めば痛みがひきますが、放っておくと血管はどんどんボロボロになるので、日を追うごとに痛みが増す。最悪の場合、血管が詰まって脚が真っ青になり、切断という事態に陥ります」