アイドルグループをプロデュース
2022年からは、新しい挑戦としてアイドルのプロデュースを行っている岡本。全国各地からオーディションによって選ばれた12人のメンバー構成で、岡本が名づけたグループ名は「milk&honey」(愛称:ミルハニ)だ。
「運営サイドから最初にお話をいただいたときはビックリしました。アイドルをテレビで見ることはあっても、詳しいわけではありません。でも、『岡本真夜の世界観が欲しい』と言われ、だったらできるかもしれないと思ったんです」
岡本がデビューしたのが21歳で、ちょうどメンバーも同じ年頃だ。
「当時感じていたことを思い出しながら、彼女たちと接する中で感じることを出していけばいいと考え、引き受けることにしました」
現在ミルハニは、岡本の曲をカバーしてライブを行っており、7月26日にメジャーデビューが決まっている。デビュー曲『DA・DA・DA』は岡本が作詞・作曲。シングル・アルバム曲すべて、岡本が書いていく。
「これまでも楽曲提供は行ってきましたが、提供相手だけの曲というより、『自分でも歌いたいな』と思える曲を提供することにこだわってきました。でもミルハニに対しては、完全に彼女たちのキャラクターを理解して、思い浮かんだものを曲にしています。アイドル曲の傾向をあえて研究したりはせず、流行も追わずに作っています」
しかし、実際にライブに足を運ぶと、アイドルグループならではの気づきもあった。
「ファンの方たちの“コール”を初めて生で聞いたときは衝撃でした。私の曲は音符が多いのですが、みんなで盛り上がってもらうために、コールを入れやすいシンプルな曲も今後作ろうと思っています」
岡本にとってメンバーは娘のような世代。「milk&honey」のリーダー・馬渕恭子は、岡本のことを「本当に母のような人」と語る。
「『TOMORROW』がヒットしたときはまだ生まれてないメンバーもいますが、もちろん歌は知っていました。最初はすごいアーティストさんのプロデュースということで緊張していましたが、一人ひとりを見てくれていて、不安を感じていると『大丈夫だよ』と声をかけてくれます。岡本さんの楽曲は歌うのがすごく難しいのですが、岡本さんの名前に恥じないアーティストとして活動していきたいです」
来年には50歳を迎え、作家として楽曲提供を増やしていきたいと思っていたときにスタートしたアイドルのプロデュース。
「引き受けた後に、運営サイドから『アイドルがヒット曲を出して成功すると、20年は続けないとダメですよ』と言われてビックリしました。20年後は70歳になっていますが(笑)、その前にヒットをさせなきゃというプレッシャーは半端ないですけれども、走り始めたので頑張ります」
デビューしたときからの「あまり表に出たくない」という思いは今も変わっておらず、裏方としてアイドルをプロデュースすることは向いているのかもしれない。
「今はミルハニを成功させることと、2年後のデビュー30周年イベントに向けて全力を注いでいきます」
色褪せない名曲と世代を超えて受け継がれていく岡本の音楽性。アーティスト・岡本真夜の挑戦は続いていく。
取材・文/垣内 栄
かきうち・さかえ IT企業、編集プロダクション、出版社を経て、'02年よりフリーライター・編集者として活動。女性誌、経済誌、企業誌、書籍、WEBと幅広い媒体で、企画・編集・取材・執筆を担当している。
撮影/山田智絵
撮影協力/銀座 飛雁閣