宿題というよりも学習のガイドブック
そんな中、岐阜県では今でも手作り系『夏の友』を作っているという情報をゲット!早速発行元の岐阜県校長会館に直撃してみると、
「はい、もちろん今年も『夏の友』を発行しています」
こう話してくれたのは事業部の芝山圭子さん。歴史はなんと70年以上!
今年も県下50名以上の教員が、自ら取材するなどした岐阜情報を満載で取り込みつつ執筆、編集しているというのだ。
「夏休みに子どもたちが豊かな体験と感動のある生活をする中で、生きる力をつけることを願う熱い気持ちで長年独自に作り続けています」(芝山さん、以下同)
単純に学力の向上だけを目的としたものではない、ということ?
「宿題ではなく、夏休みの暮らしや学習のガイドブックとして読み物が中心になっているんです」
芝山さんの言葉どおり、冊子の約90ページのうち国語、算数などの学習は2割程度。
「内容は総括、読書、郷土の読み物、家庭・地域、宝物、学習、表紙の7領域で構成。編集の先生方もそれぞれの領域に分かれて作成しています」
冊子を開くと、自ら考えて研究や作品作りができるような参考資料や、郷土、自然をより深く感じられるもの、健康や規則正しい生活が送れるようなものなど、どのページも先生方の愛と工夫に満ち満ちている。
特に表紙は、別刷り付録を切り貼りしてポップアップにしたり、ゲーム性があったりと“遊べる表紙”に。
「親子や友達とのコミュニケーションツールにもなっているようです」
冊子の購入は学年単位や希望者のみなど各学校の判断によるそうだが、今年の購入率は県内公立小児童の約88%、学校単位での採用率はほぼ100%!まさに岐阜県民の“ソウル冊子”であり岐阜っ子の“夏の親友”になっているのだ。
ちなみに冬休みには『冬の友』が毎年発行。こちらも表紙が「ふくわらい」や「オセロ」「ボウリング」など遊びゴコロ満載!
調べれば調べるほど魅力あふれる『夏休みの友』。ちなみにズルズルとためて、休みの終盤、必死に取り組んでいた人ほど記憶に鮮明に残っているよう。
夏が来れば思い出すのは尾瀬だけでなく、懐かしの『夏休みの友』なんて人が多いのも、これで納得!
(取材・文/住田幸子)