土俵とは正反対の無邪気な笑顔
豊昇龍の素顔については、歌手の小林幸子さん(69)も大絶賛する。
「最近だと6月に新潟県十日町市で行われた田植えのイベントで一緒になったのですが、『白いご飯が大好き。新潟のお米はめちゃくちゃおいしい』と言っていましたね。また、現在少女漫画誌で私が主人公の漫画が連載されているんですけど(註:『ミステリーボニータ』で連載されている『異世界小林幸子~ラスボス降臨!~』)、その話題になったとき、『なんていう雑誌ですか。漫画大好きだから読みたいです。買いに行きます』と言ってくれました。
いつも土俵上で見せている勝負師の顔とは正反対の、とっても無邪気な可愛い笑顔が印象的な、素直で誠実な若者ですね」
なお、この田植えイベントに同行した週刊女性記者によると、
「この日はあいにくの雨模様だったのですが、豊昇龍関は、『雨は嫌いじゃないんです。雨の日のほうが、力が出るというか、いいことがあるんです』と、集まった地元の人たちやスタッフなど周囲を気遣うような発言をしていました。
また、まったく偉ぶるところがなく、部屋の若い衆と仲良くじゃれ合うようにしていたのが微笑ましかったですね。
車座で行われた記者会見では、『お酒は飲むけれども、そんなに好きでもない』『お菓子が好き』と素直に答えていて、Z世代の若者らしい一面がうかがえました。
ただ、『好きな女性のタイプや、好きなタレントさんは?』と質問したところ、照れてしまったのかなかなか答えてくれず、『……優しい人かな?』と、ぼそっと言ったのが印象的でした」
マイペースながら、周囲に気を使うこともできる、みんなに愛される素顔の持ち主のようだ。
元朝青龍も取材をしたことがある相撲担当記者はこう語る。
「朝青龍時代の叔父さんよりは、性格が穏やかな印象がありますね。以前は何かにつけ叔父の名前が出ることに敏感になっていた時期があったようです。ですが、確実に実績を残すようになってから、あまり気にしなくなったようで、伝達式後の記者会見でも、『おまえが優勝したら泣くからな、と言われた』と元朝青龍とのやりとりを朗らかに話していましたね」
相撲ファンで知られる俳優の冨士眞奈美さん(85)は、このように期待を込める。
「今回の名古屋場所は、世代交代が感じられる場所でした。私は伯桜鵬を応援していたんですけど、豊昇龍が勝ってしまった(笑)。昔みたいに“強くて憎らしい”というお相撲さんがしばらくいなかったから、豊昇龍にはそれを期待しています」
大関昇進後の記者会見では、「ここで終わるわけじゃないので、次に向けて頑張りたい」と決意を語った豊昇龍。
平成を彩る横綱だった叔父を仰ぎ、令和を代表する横綱になる日も近いかもしれない。
(取材・文/木原みぎわ)