しかし、菊池受刑者の精神的に不安定な状態が、次第に回復していったとされる。
健康状態は少しずつ悪化していると考えられる
「女性ホルモンが大幅に減少し、最初は非常につらい症状がでるのですが、少しずつ慣れて楽になる。それより問題なのは、骨密度が低下する骨粗しょう症や動脈硬化が進行すること。つまり、体内の老化がどんどん進んでいくのです」(同・中塚教授、以下同)
では、現在の菊池受刑者はどのような状態なのか?
「検査しなければわかりませんが、健康状態は少しずつ悪化していると考えられます。動脈硬化による心筋梗塞や脳梗塞というリスクは確実に上昇しますし、骨粗しょう症が進行して骨がスカスカになれば、元の状態に戻すことはかなり難しい。
今は若いので簡単に骨が折れることはないでしょうけど、60代や70代になったときに、症状が出る。例えば大腿骨が折れれば寝たきりになるし、背骨が折れれば、最悪の場合は足が麻痺してしまうこともある。なので、治療が必要な状態であるわけですから、そういった健康被害が出ないようにすることが大切だと考えます」
菊池受刑者は刑務所で、男性芸能人に似ていると言われてカッとなり、
「ばばあ、ブス。死ね」
などと暴言を吐いて懲罰房に入ったことも。その一方、
「先生、いま私って女の子にしか見えないですか?」
と医師に尋ね、肯定されるとニコニコとした表情を見せていた。きっと今も、自分の容姿が女性のままか、気にし続けているはずだ。病魔に身体を蝕まれながらも……。
受刑者といえども人権がある。多様性が叫ばれる今だからこそ、治療が本当に不要だったのか、適切に判断されることを求めたい――。