少しでも長く働いて厚生年金を増やそう
70歳まで会社で働き続けられる環境が整いつつある今、岩城さんがすすめるのは、65歳を過ぎても、できるだけ長く働き続けること。
「長く会社勤めをすれば、そのぶん収入が得られるだけでなく、収入や期間に応じてもらえる厚生年金もアップするのが会社員の強みですね」
なお、定年後は自営業や業務委託などで働いて厚生年金に加入しない場合、厚生年金は増えないので注意(その場合は節税効果の高い小規模企業共済や後述するイデコなどを上手に利用したい)。
働き続けるメリットはもう一つある。働ける間は年金の受給開始を引きのばして「繰り下げ受給」にするのだ。受給開始を5年繰り下げて70歳にすれば、年金額はなんと1.42倍に増える。
※繰り下げ受給の増額分は、在職老齢年金で停止されている分は対象とならない。
ちなみにこの繰り下げ受給による年金額アップは、厚生年金でも国民年金でも適用される。
「年金額が年100万円の場合は142万円に増え、しかもその額が生涯続くわけです。平均余命が長くなっているから、これは大きいと思います」
定年後の“収入ガタ落ち”を救うお金
高年齢雇用継続基本給付金
失業保険をもらわず、会社で働き続けるなら
・もらえる条件
雇用保険に5年以上加入。定年後、失業保険をもらわずに会社で働く。60歳のときと比べて賃金が75%未満に減り、その額が支給限度額未満の場合。
・支給額
賃金が60歳時点よりも61%以下の場合は毎月の賃金の15%。61%超75%未満の場合は15%より少ない額。
・支給期間
60歳に達した月から65歳に達する月まで。なお、60歳時点において雇用保険に加入していた期間が5年未満の場合は、加入期間が5年になってから支給可能。
高年齢再就職給付金
失業保険をもらって別の会社に再就職したら
・もらえる条件
定年後に会社を辞めて、ハローワークで求職しながら失業保険(基本手当)を受給。失業保険をもらえる日数が100日以上残っている状態で再就職し、60歳のときと比べて賃金が75%未満に減った場合。
・支給額
高年齢雇用継続基本給付金と同じ。
・支給期間
失業保険の残り日数が200日以上なら再就職から2年間、100日以上200日未満なら1年、ただし65歳に達した月になれば終了。
厚生年金
少しでも長く働いて受給額増
定年以降も厚生年金保険に加入して働いた場合、その収入と期間に応じて、老齢厚生年金がさらに増える。
なお、年金は、通常は65歳からもらい始めるが、受給開始を遅らせる「繰り下げ受給」にすると、1か月遅らせるごとに年金額が0.7%アップ。
70歳受給開始なら42%アップ、75歳受給開始なら84%アップになる。