[証言2] 元大手中学受験塾Bのアルバイト講師
井上さん(35歳男性・仮名)は大学生時代、大手中学受験塾Bで2年間、塾講師としてのアルバイト経験がある。そこでの勤務形態は驚くべきものだったと教えてくれた。
「時給が2000円超と良かったので続けていました。大学生活を楽しむ中での、割の良いアルバイトだと割り切って働いていたので特に不満を抱いたりはなかったですが、この生活を社会人として続けたいとはもちろん一切思えなかったですね。
若い社員の講師たちも、みんながみんな高学歴だなんてことはない。校舎の責任者の校長と言われる立場の人は、パワハラ気質のおじさんでした。いつも授業の合間の休憩時間に、狭い給湯室でタバコを吸って、特大サイズのマウスウォッシュをラッパ飲みで口に含んでから授業に戻っていましたね。
バイトしてみて思ったのは、絶対に子どもをここ(大手中学受験塾B)には通わせたくない、ってことですね。何の準備もしていない自分が、授業30分前くらいに校舎に来て、適当に授業するだけなんですから」(元大手中学受験塾Bアルバイト講師・井上さん、以下同)
聞くと、井上さんは有名私立中高一貫校出身。アルバイト2年目の夏期講習で、社員も含めた全講師中、生徒からの評価で校舎1位の成績をとったことがあるという。
「バイト経験2年目の大学4年生、当時の自分は21~22歳。それが生徒からは、”先生って27歳くらい〜?”なんて聞かれて、若くてやさしい先生、くらいにしか思われていない。
ちなみに、”自分がアルバイトの大学生であること”は生徒には言ってはいけないという決まりがありましたね。私は小5の算数のクラスを担当していたのですが、夏期講習など、授業のコマ数が増えて講師不足に陥ると、”井上、ちょっと今日、国語と理科もお願いできるか”みたいなことを校長に言われて(笑)。
まぁ教えられるんですけど、普段は算数を教えている自分が、急に国語の授業で”小説内での主人公の気持ち”を心情語から読み取って解説し始めるんだから、これ塾として大丈夫か?とは思っていました」
実はこれはまだいいほう。塾講師アルバイトの求人サイトを見ると、「頭が良くなくても塾講師はできる! なぜなら勉強のできない子たちの気持ちがよくわかるから♪」なんて目を疑うような記事がわんさか出てくるのだから。