『トー横キッズ』ならぬ『西口シニア』
そこで週刊女性も週末の夕方から終電の時間にかけて池袋西口公園を訪れてみた。確かに地べたに座り、酒を飲む若者集団は数組いたが、『トー横』の印象とは程遠い。
「終電間際から深夜を過ぎるあたりから集まってきて、芸術劇場の脇の植え込みや路上などの場所でたむろしています。朝になると飲み残された酒の缶や食べ残し、こぼした酒や吐瀉物で周辺が汚れていることもあるんです」(前出の店主)
とはいえ、注意をすれば素直に応じるなど『トー横』と比べると話の通じる若者たちだ。
そこで池袋西口公園を管理している豊島区に実態について聞いてみた。
「私たちは『トー横』化しているという認識はありません。確かにコロナ禍では路上飲みをする若者たちもいました。深夜、公園は閉鎖していますし、警備員も24時間常駐して、路上飲みをしていれば声をかけるようにしています。大学生とトー横キッズの区別もつかない人たちが何を言っているのか、という感じです」
前出のさやかさんも、
「西口公園にいるのはむしろおじさんたち。昼間から集まってお酒を飲んでいる姿が目立ちます。ただ夏休みに入る前は確かにトー横キッズが出入りしていて、シニアの人たちともめている様子でした」
『トー横キッズ』ならぬ『西口シニア』とでもいうのだろうか。
家庭や職場に居場所がない同じ境遇の中高年たちが集まり、将棋を指したり、ストロング缶を傾けたりしながら家庭や社会へのうっぷんを晴らし、寂しさを紛らわせる。
令和の「IWGP」はまさに若者と中高年たちの居場所争いとでもいうのだろうか。小池都知事は池袋西口公園に集まる中高年にも目を向ける必要があるようだ。
取材・文/当山みどり