老人性うつは薬で治る、予防は楽観すること
「認知症は薬で進行を抑えることしかできませんが、うつ病は薬で治ります。老人性うつの原因はセロトニン不足が原因であるため、セロトニンの量を増やす薬で症状が好転しやすいんです。
早い人では、2週間くらいで簡単に治り、元気に暮らせるようになることもあります」
昔の抗うつ剤には副作用もあったが、最近、老人性うつの治療に使われている「選択的セロトニン再取り込み阻害薬」は副作用が少ない。
「薬物治療で治る確率が高まり、現代のうつは『身体の病気』に近いといえますね」
この病気を予防するためには、日々の暮らしの中でセロトニンの分泌をスムーズにしてあげることだ。
「日光浴や適度な運動、セロトニンの原料を含む食品などでセロトニンは補うことができます。日に当たることで体内リズムが整い、不眠の解消も期待できるので、できることから始めていきましょう。
アルコールはセロトニンを枯渇させるので、うつ傾向の人は飲酒しないほうがいいです」
うつ予防のためにも50代のうちに、自分の気晴らしとなる趣味や仕事を用意しておくことが大切だと語る。
「定年退職する前に自分の居場所を準備しておくこと。また、何ごとも楽観的に考える思考と習慣があると、ウツウツ気分と無縁に生きられます。タレントの高田純次さんのような、『程よい適当さ』が、いちばんの予防法ですね」