老人性うつを予防する6つの習慣

1.セロトニンの原料を含む食品を積極的にとる

 老人性うつは、神経伝達物質セロトニンの枯渇が大きな原因。この不足分は食事でカバーすることもできる。

 セロトニンの原料「トリプトファン」を含むのは肉類、魚、大豆製品だが、とりわけ肉類を積極的に。コレステロールはセロトニンをうまく機能させ、うつを改善する働きがあるので過度の心配は無用。

1.セロトニンの原料を含む食品を積極的にとる(イラスト/ますみかん)
1.セロトニンの原料を含む食品を積極的にとる(イラスト/ますみかん)
【イラスト】「老人性うつ」の予防を可能にする習慣と認知症との違いがわかる一覧

2.朝起きたら日光に当たり睡眠の質をアップ!

 日光はセロトニンの分泌を促進するだけでなく、睡眠と関係が深いメラトニンの分泌も促すので、睡眠の質が良くなるといわれている。そのため、うつに伴う不眠症状の改善も期待できる。

 まずは毎朝、家中のカーテンを開けて日光を浴びるところから始めてみて。散歩もオススメだが、夏は早朝に屋外に出るだけでもOK。

3.会話をする機会を増やす

 高齢者の場合、うつ予防のためには、定年後も仕事や習い事などで社会との接点を持つことが大事。できるだけ外に出て、人との会話を楽しみましょう。

 人とのコミュニケーションは最高の脳トレにもなるので相手をよく観察し、会話中1、2回は相手を褒めるようにするとよい。会うのが難しいときは、長電話を楽しんで。

3.会話をする機会を増やす(イラスト/ますみかん)
3.会話をする機会を増やす(イラスト/ますみかん)

4.家庭菜園で日光を浴びる

「農業は脳業」といわれるくらい、頭を使う作業。自然相手の仕事だけに、想定外のことが起きるが、それが前頭葉を動かすことにつながる。

 また、土をいじりながら日光を浴びることになり、脳内のセロトニンの分泌量が増加。草花の癒し効果にも期待ができる。

4.家庭菜園で日光を浴びる(イラスト/ますみかん)
4.家庭菜園で日光を浴びる(イラスト/ますみかん)

5.規則正しい食事で体内リズムを整える

 体内時計の働きが、セロトニン分泌のためには重要。体内時計を規則正しく働かせるためには朝食を決まった時間に食べることが有効。高齢になると、炭水化物に偏りがちになるため、タンパク質や脂質、ビタミン、ミネラルをしっかりとる。

 また、料理をすることも脳トレに。

6.絵を描く習慣で脳を活性化

 絵を描くことは脳にとって、さまざまな好影響を与える。画家には長寿の人が多く、米寿を超えて作品を発表し続けた人が少なくない。

 絵画はうつ病治療にも取り入れられ、集中して絵筆を動かすことには、ウツウツとした気分やストレスを吐き出す効果がある。

和田秀樹先生●精神科医。ルネクリニック東京院院長。東京大学医学部卒。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたり高齢者医療の現場に携わる。『ぼけの壁』(幻冬舎新書)ほか、著書多数。
和田秀樹先生●精神科医。ルネクリニック東京院院長。東京大学医学部卒。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたり高齢者医療の現場に携わる。『ぼけの壁』(幻冬舎新書)ほか、著書多数。
教えてくれたのは……和田秀樹先生●精神科医。ルネクリニック東京院院長。東京大学医学部卒。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたり高齢者医療の現場に携わる。ぼけの壁(幻冬舎新書)ほか、著書多数。

(取材・文・イラスト/ますみかん)