江口は'87年の映画『湘南爆走族』に主演し、その後'91年『東京ラブストーリー』、'91年『101回目のプロポーズ』、'92年『愛という名のもとに』とヒット作に立て続けに出演。'93年には『ひとつ屋根の下』で人気を不動のものにするも、主演にこだわることなくサブ的立ち位置も積極的に務めてきた。その陰には織田の存在があると宝泉氏は言う。
「江口さんは織田さんがその世代のトップを走る姿を二番手として見てきた。ここまでやると叩かれるんだな、カッコ悪いな、主演ばかりしてると年を取ったときどうなるだろう、といったことに気づけるポジションだった。江口さんは今や最強の二番手。今の彼があるのは織田さんのおかげかもしれません」
江口は安心感抜群の一方で
10月期ドラマ『ONE DAY』で演じるのは主演の1人、二宮和也扮する逃亡犯を追う警視役。月9枠のレギュラーは自身が主演した'03年のドラマ『東京ラブ・シネマ』以来で、二番手での出演だ。
「江口さんは空気を読むのがうまく、どういう立ち位置を求められているか考え、時に二番手として期待以上の結果を出す。またそこで50代ならではの深みや渋みを感じさせる役者になってきている」
監督や演出家からの信頼も厚く、役者として確かな実績を積み上げてきた。しかしそこに一抹の不安もあると宝泉氏は話す。
「結婚生活も含めて人生すべてうまくいっている雰囲気があり、だから少し物足りない。ちょっと欠点を見せてほしい。何でそこまでマッチョにするんだろう、何でモノマネされて怒るんだろうというように、はみ出した部分がほしい。安心して仕事を任せられるのは江口さんだけれど、芸能人としてはやはり大沢さん、織田さんが面白い」
'90年代トレンディードラマを共に盛り上げ、そして再びイケ期を迎えた彼ら。世間は3人に何を望むのか、今後の行方を宝泉氏はこう語る。
「彼らのブレイクした'90年代はバブルが弾けた直後でまだその名残があったころ。特別な時代で、日本がいちばん元気があったころのスターが変わらず頑張っている姿を見るのはうれしい。クールな大沢さんと、熱い織田さん、その中間の江口さん。彼らには今後もこのまま貫いてほしいし、また世の中もそれを期待している気がします」
取材・文/小野寺悦子