チームからとても信頼されている存在
寺田トレーナーはチームや大谷にとって、どういう存在なのか。現地で取材をするスポーツライターの梅田香子さんに話を聞いた。
「メジャーリーグで選手の身体に直接触れるトレーナーになるためには、難易度の高いアスレティックトレーナーの資格試験に受からないといけませんし、英語でコミュニケーションが取れることが必要です。そういったことを乗り越えて雇われているので、かなり評価されている方ですよ」
年間162試合を選手とともに戦うトレーナーも過酷な仕事にちがいない。
「試合がない日でも練習する場合があるので、選手のケアをする必要があります。なので、ほとんど休みがなく、タフでないとできませんし、家族の理解がないと難しいです。そういう仕事を寺田さんは10年以上続けてきているので、チームからとても信頼されていますね」(梅田さん、以下同)
今後の去就が注目されている大谷。どこの球団にも寺田トレーナーのような優れたトレーナーはいるのだろうか。
「以前は、マッサージなどの東洋医学的なことはアメリカでは重要視されていませんでした。最近では評価されてきていますが、トレーナーにお金をかけない球団も珍しくありません。エンゼルスがしっかりトレーナーを雇っているのは素晴らしいことですし、大谷選手にとっても、日本人のトレーナーがいるというのは心強いと思います」
寺田トレーナーがエンゼルスでトレーナーを続けているのは、なぜなのだろうか。
「日本ではプロ野球チームで3年ほど働くと、独立して治療院を開くことも多いんです。トレーナーの地位が低かったころのメジャーリーグでは、あまりの薄給に日本人が1年で辞めたということもありました。寺田さんが長く続けているのは、お給料がある程度保証されていて、本当に野球が好きだからだと思います。ほとんど休みなく働くのは大変ですから。“一流のメジャーリーガーを診て自分を高めていきたい”“勝負の世界に身を置いて仕事をしたい”という人だから続いているんでしょうね」
“縁の下の力持ち”が、大谷を支えてくれるはず!
梅田香子 スポーツライターとして、野球以外にもフィギュアスケートやバスケットボールなど多くのスポーツに精通。現在はアメリカに在住し、大リーグを中心に取材活動を行う