まず、東山に性加害を受けたかどうかをたずねた女性記者がいましたが、この質問は何のためなのでしょうか。今回の問題は事務所の創業者が、自分の優位な立場を利用して未成年への性加害を行ったこと、その事実を訴えた書籍、認めた裁判判決があるのにも関わらず何十年も報道されなかったことであり、被害者が誰であるかは本質とは関係ないはずです。

「あなたも性被害に合いましたか?」ヤバすぎる質問

 また、今回のケースは性加害をしたのが男性で被害者も男性でしたが、この女性記者は、被害に合ったかもしれない女性を前にしても「あなたも性被害に合いましたか?」と聞いたのでしょうか。おそらく聞かないと思います。なぜなら、女性にこんなヤバい質問をしたら「セクハラだ」とSNSが黙っていないことは目に見えているからです。

 それでは、なぜ記者がこんな質問をしたのか。それは、日本を代表する芸能事務所として長いことご威光を放ってきたジャニーズ事務所ですが、今はちょっと分が悪いので、何を言われても反論できず、丁寧に答えてくれる。それがわかっているから、あえて“口撃”をしかけたのではないでしょうか。けれども、この女性記者のやり方が完全に間違っていると私には言い切れません。こういう失礼な聞き方やパフォーマンスが話題となり、数字(PV)を稼ぐことがあるからです。報道としてはアウトでも、ビジネスとしてはアリなわけです。喜多川氏は少年の鼻先にデビューという名のにんじんをぶらさげて毒牙にかけ、一方で人気タレントを多数有していることを理由に、テレビ局をはじめとしたメディアを支配してきましたが、相手の持つ数字や立場によって態度を変える、やり返せない人には強く出るというマスコミのやり方もまた、ジャニーズとそう変わらないと言えるのではないでしょうか。