プレッシャーの反面うれしかったこと

 大阪を舞台にした今作で苦労したのは、関西弁だったと語る。

「いちばんの壁でしたね。日頃、テレビ番組などで関西弁を耳にすることが多いので、なんとなくわかっているつもりでいたんです。でも、自分の認識していたイントネーションとまったく違いました。

 身近に京都弁を話す友達はいますが、また違うので。しかもジョーは自由なキャラなので、監督から“涼介、ここの会話もうちょっと明るくして”とアドリブを求められることが多かったんです。

 そうなったら、1~2分で話す内容を考えて、すぐに方言指導の方に“これ、関西弁でどう言うんですか”と聞いて。そのまま本番みたいな(笑)。すごいプレッシャーも感じつつ、それだけ監督が信頼してくれているのかなってうれしかったですね」

 映画のキャッチコピーである“姉弟が向かう先は、 天国か地獄か?”から、地獄だった瞬間について聞くと、

「同じ業界ではない親友が、僕の誕生日にピンポンも鳴らさず、玄関の前に度数の強いお酒を置いていって。30歳の誕生日だったので30本。1本1本にメッセージが書いてあったんですよね。

 当時、ドラマの撮影で忙しかったので、気を使って連絡をくれなかったんだと思います。でも、朝5時くらいに撮影に行こうと眠い目をこすりながら玄関を開けた瞬間、驚いて膝から崩れ落ちました。“この本数、誰が飲むねん!”と思って(笑)

 今年の5月に30代の仲間入りをした。

昔からですが、あんまりこれを演じてみたい、あれをやりたいというのがなくて。自分で決めてしまうと、それになろうとするので、違う役が来たとき、方向転換に時間がかかってしまうから。即対応できるように柔軟でいたいんです。

 だから、どんな役でも来いと思っています。自分にとって俳優は大好きな仕事で、それ以下でも、それ以上でもないですね」

 しなやかで強く、美しい山田に『BAD LANDS バッド・ランズ』はとてもいい作品だったと伝えると、

「いや、うれしい。そう言っていただけて、もう僕は幸せです!」

 とびきりの笑顔を見せてくれた。