応援グッズではないが、球場に行くならチケットホルダーも揃えたい。こちらはやはり阪神が最安で1080円、他は1200~1600円ほど。もし、特定球団のファンとして形から入るなら、1万円超えの出費は必要になりそうだ。

安さなら阪神だが、熱烈だからこその落とし穴も

 12球団すべてで最も応援コストが安く済むのは、やはり阪神だ。これには先にも書いたように、そもそもファンの絶対数が多く、猛虎魂を持つ彼らなら必ずグッズを購入すると見込めるからだろう。筆者も甲子園手前の「チームショップアルプス」には何度か行っているが、試合前には入場のための列ができており、店内は大混雑、レジも長蛇の列だ。1アイテムごとの価格を安くしたとしても、複数の品を買ってもらえば一人当たりの売り上げは大きくなる。言うなら手ごろな価格にしておけば、ついで買いを誘いやすい。価格に敏感な関西人向け商法と言えそうだ。

 なお、熱烈ファンが多いからこその落とし穴も。ユニフォームのデザインは不変ではなく、毎年のようにホーム・ビジターでデザインを更新している。それ以外にも、阪神なら「ウル虎の夏」等のイベントユニもある。ホームとビジターユニをその都度買い替え、イベントユニにも手を出し――としていると、とんでもなく金がかかるのだ。一つひとつは安め価格でも、年間を通せば、とんでもなく阪神エンゲル指数が膨らみかねない。

 しかも今年は18年ぶりにリーグ優勝をし、クライマックスシリーズを勝ち抜けば日本シリーズが待っている。2回目の日本一に輝くようなことにでもなれば、いったい虎ファンの財布はどうなってしまうのだろうか……?

 ちなみにタイガースリーグ優勝記念グッズのうち、最も高額なのは約260万円の純金小判。非難轟轟の中で万博をやるより、阪神タイガースが日本一になるほうが、よほど関西に金を落とすことは確かだろう。


松崎 のり子(まつざき のりこ)Noriko Matsuzaki
消費経済ジャーナリスト
20年以上にわたり『レタスクラブ』『レタスクラブお金の本』『マネープラス』などのマネー記事を取材・編集。家電は買ったことがなく(すべて誕生日にプレゼントしてもらう)、食卓はつねに白いものメイン(モヤシ、ちくわなど)。「貯めるのが好きなわけではない、使うのが嫌いなだけ」というモットーも手伝い、5年間で1000万円の貯蓄をラクラク達成。「節約愛好家 激★やす子」のペンネームで節約アイデアも研究・紹介している。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)、『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』(講談社)、『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)。
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