レッスンでは講師とのコミュニケーションによって笑顔も戻り、スタジオまでの往復3時間のウォーキングも心に良い影響を与えていたという。
社交ダンスとウォーキングで日々筋力アップに励んでいるが、ルーティンはあえて決めない。
「メニューをきっちり決めてするトレーニングは向いていないんです。どちらかというと日常生活の中で、気づけばどこか動かしているタイプ」
仕事の合間も、暇があれば部屋の端でストレッチ。
「自分でも無意識でやっているんですよね。待ち時間に足上げをしていたら、スタッフさんに『さっきすごく高く足を上げてましたね』と言われて、ハッとすることも(笑)」
継続的な運動によって、コロナ禍に感じた不調も軽減されたという。
「いっときは、筋力低下で姿勢が悪くなったのが原因で、手にしびれが出ていたんです。でもダンスを再開し、マッサージも受けていたおかげで、すっかり治りました。ブランクを空けてしまうと元に戻すのに時間がかかるので、身体は使い続けることが大事だと実感しました」
さらに、元気な生活を送るには「刺激が大事」と語る。さまざまな年齢や職業の友人に、日々刺激をもらっているという。
「この年になると新しい友達をつくるって大変。でもそれを面倒だと思い始めると、心はどんどんしおれていきます。私の母も晩年は身体が動かしにくくなっていましたが、車椅子で外に連れ出した日はいつもよりご飯をたくさん食べたんです。いくつになっても刺激が人を元気にするんだなと実感しましたね」
老いや病気は天に任せるしかないと割り切る。しかし、いつか自分が介護される際には、長年の介護経験で得た医療知識が役立つかもと笑う。
「『やり方が違うわよ』って指摘しちゃうかも(笑)。でもそれくらい軽口を叩けることが元気の証拠になるのかもしれません」
(取材・文/中村未来)