最大の武器で失敗
一方「しゃべり」に関してはそこまでのすごさはなく、そのあたりを象徴しているのが冠番組の『おかべろ』(フジテレビ系)だろう。同じ局の『さんまのまんま』の後継的トーク番組だが、明石家さんまのようにひとりで仕切るのではなく、ほかの芸人(現在はNON STYLEの石田明)とともに回す形がとられている。
そういう観点で二大転機を振り返ってみると、休養については主演映画のプロモーションという苦手な仕事に忙殺されたことが引き金。また「風俗」舌禍事件は、しゃべりのミスだ。
これに対し、今回は最大の武器である運動神経で失敗してしまったわけで、本人的にはかなりショックなのではないか。
ちなみに、岡村は24年前にも番組収録中、右腕を骨折。ハエを回し蹴りで追い払おうとして転んだのが原因だが、20代でのハプニング的なケガは「若気の至り」で済ますことができる。
今回は得意なはずの跳び箱でのものだから、もう若くはないことを痛感させられそうなケガだ。実際、本人も、
「幼少期から器械体操をやっていた身ですけど、認めたくはないけど、(53歳という)年齢はある」
と、コメントした。なお、
'10年の休養を余儀なくされた体調不良は、自分の心身を見つめ直し、仕事をセーブするきっかけにもなったようだ。「風俗」舌禍事件についても、その苦境を支えてくれた女性との関係が結婚へと発展、子どもも授かるという「災い転じて」的な展開につながった。
しかし、体調不良や舌禍事件以上に、年齢の壁というのは乗り越えるのが難しい。ナイナイ世代ではない筆者にとっても、寂しさを感じさせる「転機」である。
ほうせん・かおる アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。著書に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)。